HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 17 Jan 2011 21:10:32 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:引きこもりだった四十歳の新しい訓練生が、海に出ようとする。…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年1月17日

 引きこもりだった四十歳の新しい訓練生が、海に出ようとする。そんな象徴的な場面でドキュメンタリー映画は終わる。戸塚ヨットスクールに一年近く密着取材した東海テレビ制作の「平成ジレンマ」は、スクールの「今」を通じて現代社会の病理を映し出す力作だ▼体罰を積極的に肯定するスパルタ訓練で有名だった全盛期、百人を超える訓練生がいた。教育界のカリスマとして、戸塚宏校長がマスコミからもてはやされた時期もあった▼一転したのは約三十年前、訓練中の死亡や厳しい訓練から逃れようとした二人の少年がフェリーから海に飛び込み行方不明になった事件が続いたためだ▼マスメディアは激しい批判を浴びせ、行きすぎた体罰が原因として、戸塚校長は傷害致死などの疑いで逮捕された。服役を終え二〇〇六年に出所した戸塚校長はスクールに復帰する▼校内暴力が吹き荒れた時代、訓練生は非行少年が多かったが、いま在籍する十人前後の大半は二十代の青年だ。公的な相談施設や病院をいくつも回り、悩み抜いた末に子どもを託す親の苦悩を想像する▼戸塚校長の変わらない体罰肯定論は受け入れ難い。ただ、スクールを「駆け込み寺」として頼らざるを得ない家族がいまも多く存在する事実は重い。カメラは容赦なく社会のひずみをえぐり出す。映画は今月末に名古屋で、東京は来月、公開される。

 

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