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1月16日付 編集手帳

 妻は玄関先で亡くなり、夜露に打たれながら深夜まで私の帰宅を待っていた――。全国犯罪被害者の会(あすの会)の代表幹事を務める岡村勲弁護士(81)が『文芸春秋』2000年7月号に書いた手記を、改めて読んだ◆その3年前、仕事に絡んで岡村さんを逆恨みした男に妻の真苗さん(当時63歳)を刺殺された。被害者遺族は刑事司法のカヤの外、事件の詳細も知らされない。加害者の人権ばかり配慮したような判決にも司法不信を強くした◆自殺を考えた時期もあるが、それでは犯人を喜ばせるだけだ。同じ苦しみを持つ人たちと話すうちに、絶望の底で声も上げられない被害者・遺族の現状を変えようと決意する。「それこそが妻の死を無駄にしない道」だと◆00年1月、都内で開かれた設立総会。定員の3倍の人で会場は埋まった。あすの会の活動は、裁判への被害者参加制度や、被害者の権利を(うた)った犯罪被害者基本法の制定、凶悪犯罪の公訴時効撤廃などにつながった◆岡村さんは23日の大会で代表幹事を退任する。結婚前の妻との約束「市井の弁護士に徹する」を、貫徹してみせた11年間だった。

2011年1月16日01時12分  読売新聞)
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