ベルギーが記録を更新している。数年前にマークした最長記録百九十四日を破り、既に二百十日以上という▼総選挙後の内閣不在の日数のことだ。南北で、フランス語、オランダ語と言語圏が異なることを背景に連立政権交渉が難航するのは毎度だが、先の総選挙結果は、第一党といっても獲得議席は二割以下。ちょぼちょぼの勢力ばかり六、七党の協議なのだから難しいのは当然だ▼さて、わが国の政権は今日、内閣改造を行うらしい。既に官房長官交代などが報じられている。菅政権浮上の契機になるかどうかは知らないが、現在の政治状況には、少し“ベルギー風”なところがある気がする▼もし民主党内で菅さんが圧倒的に強ければ、小沢さんはとうに退場、逆に、小沢さんが圧倒的に強ければ、既に菅降ろしが実行されていよう。政党間でも、もし民主党が飛び抜けて強ければ政権は安定、逆に自民党がそうならとっくに民主党政権は崩壊している▼ともに圧倒的に強い勢力のないことが状況をややこしくしているわけだが、ベルギーなど「両言語圏の政党を含む複数党の連立政権」が憲法の決まりというから、わざわざややこしくしているようなもの▼どちらも混迷と呼べば呼べる。でも、一つの強権が存在し万事すっぱり決める状況はおっかない。このややこしさが民主主義。そう思って、辛抱するとしよう。