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2011年1月15日(土)付

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改造内閣発足―結果出していくしかない

菅直人第2次改造内閣が発足した。仙谷由人官房長官らに対する参院の問責決議を受け、やむなく人事に踏み切ったのが実態である。しかし、菅首相はきのうの記[記事全文]

スーダン南部―投票後の安定にも支援を

紛争の解決策は、和解による統一政府の樹立か、分離独立か。アフリカ大陸のスーダン南部で9日に始まり、15日まで続く住民投票で問われるのは、この問いである。[記事全文]

改造内閣発足―結果出していくしかない

 菅直人第2次改造内閣が発足した。

 仙谷由人官房長官らに対する参院の問責決議を受け、やむなく人事に踏み切ったのが実態である。

 しかし、菅首相はきのうの記者会見で「日本の危機を越える力を最大にする」ことが眼目だと強調した。とするなら、これからの実際の仕事ぶりでそれを示してもらわなければならない。

 与謝野馨経済財政相の起用は社会保障制度と財源の改革、海江田万里経済産業相らの起用は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を含む経済連携と農業改革のためだという。

 政権の最優先課題は一体何か。覚悟が見えず、すぐふらつく。そんな批判を首相は浴び続けてきた。目指す目標を明確にし、人事を通じ実行する態勢を整えようとした意図は理解できる。

 マニフェスト(政権公約)を網羅的に実現させる「全面展開型」から、菅氏が掲げる二つに力を注ぐ「2点突破型」にかじを切ったと言えるだろう。

 むろん一筋縄にはいくまい。政権は深刻な逆境にある。今度こそ金看板の「政治主導」に魂を入れ、改革を現実のものとしなければならない。

 大切なのは、国民の理解を得る丁寧な努力である。

 首相は会見で「社会保障のあり方を考える中で、持続可能な財源のあり方も議論する」と語った。国の懐が苦しいという言い方では消費増税に理解を得られないと学んだのだろう。社会保障や農業の将来像をどう描き、不安を除くか。成否はそこにかかっている。

 政治主導を実効あるものにするには官房長官の役割が重要である。

 閣僚がそれぞれの思惑で言い募り、内閣として統率が取れない。政権交代後、見せられたのはそんな姿だった。

 批判はあっても、仙谷氏は衝突する利害を調整し、憎まれ役を買って出ていた。その役割を、46歳と歴代最年少の枝野幸男氏が担えるか。枝野氏は立て板に水の弁舌が際だつが、一方で危うい発言も散見される。

 心もとなさを拭い去るかぎは、足らざる点を自覚し、互いに補うことだ。繰り返し指摘してきたように「チーム菅」をがっちりと組み上げ、活発に機能させていくことである。

 78歳の藤井裕久元財務相を官房副長官に、69歳の江田五月前参院議長を法相に据えた異例の人事には批判もある。それに応えるには、経験と知恵を生かし、結果を出していくしかない。

 チーム菅がまず直面するのは依然、政治とカネの問題である。岡田克也民主党幹事長は小沢一郎元代表に対し、きのうまでに衆院政治倫理審査会への出席を自ら申し出るよう求めていたが、小沢氏は応じなかった。

 この問題を早急に処理しない限り、「最強の態勢」もつかの間の掛け声に終わるほかない。

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スーダン南部―投票後の安定にも支援を

 紛争の解決策は、和解による統一政府の樹立か、分離独立か。

 アフリカ大陸のスーダン南部で9日に始まり、15日まで続く住民投票で問われるのは、この問いである。

 国のなかで民族と宗教が異なる集団が争い、内戦や紛争が起こる国が少なくない。スーダンもその一つだ。北部にある中央政府はアラブ系のイスラム教徒が主導し、南部はアフリカ系キリスト教徒の解放闘争勢力が率いた。

 南と北が戦ったスーダン内戦は1980年代前半に始まり、約20年で200万人が死に、400万人が難民化した。20世紀後半に起きた内戦で最も悲惨といわれた。最近では03年に始まった同国西部のダルフール紛争が注目を集めたが、南北の対立も根が深い。

 米英などが乗り出し、05年に南北の包括和平合意が調印された。暫定的な統一政府ができて和平に動き始めた。

 住民投票は、和平プロセスの最終段階である。この6年間の経験を踏まえて、南部の住民が決断する。住民には北部のバシル政権への不満が強く、分離独立が支持されるという観測が流れている。

 重要なのは、投票が最後まで平和に完了することだ。国連PKOの国連スーダン派遣団(UNMIS)が投票を支援している。派遣団の司令部には日本の自衛官2人も派遣されている。国際的な選挙監視態勢がとられ、日本からの監視団も活動している。

 南部が独立を選んでも、バシル大統領は意思を尊重すると述べている。同大統領と南部の代表、エジプト、リビアの首脳が会談し、共同声明で平和な投票を呼び掛けた。

 住民投票への南北の協力と、周辺国家や国際社会の支援を歓迎したい。投票後の混乱の防止や地域の安定のために、この協力と支援が必要だ。

 もし南部が独立を選んでも、北部との関係が終わるわけではない。

 南北の境界に未画定の部分があり、境界付近にある油田地帯の帰属を巡る住民投票は延期されている。この国の外貨収入源である石油資源の大半が南部にあるため、領土や資源を巡る紛争が再燃する心配もある。

 バシル大統領はダルフール紛争に絡んで、戦争犯罪や集団殺害の疑いで国際刑事裁判所から逮捕状が出ている人物だ。今後の行動にも不安がある。

 スーダン内戦やダルフール紛争には米国が積極的にかかわって、国際社会を引っ張ってきた。一方で、中国が進出し、石油利権を得て、中央政府に強い影響力を持っている。

 バシル大統領を抑え、スーダンを安定化させるためには、米国や中国はもちろん、国際社会の協力が欠かせない。世界の不安定な地域を一つずつ安定させてゆくために、日本も注視を続け、支援を続ける必要がある。

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