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2011年1月14日(金)付

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内閣改造―「問責交代」慣例にするな

菅直人首相がきょう、内閣改造と党役員人事を行う。予算編成に携わった閣僚を、国会審議を前に交代させるのは異例である。これからの厳しい政権運営を見据え、首相としては内閣と党[記事全文]

政権公約見直し―予算案修正と一体で臨め

民主党がきのうの党大会で、夏までに2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)を見直す方針を決めた。この政権公約を土台に編成している新年度予算案についても、同党の岡田克也[記事全文]

内閣改造―「問責交代」慣例にするな

 菅直人首相がきょう、内閣改造と党役員人事を行う。

 予算編成に携わった閣僚を、国会審議を前に交代させるのは異例である。これからの厳しい政権運営を見据え、首相としては内閣と党の立て直しにつながる布陣としなければなるまい。

 月内に召集される通常国会は、衆参ねじれ状況の下、国民生活に直結する新年度予算案と関連法案を年度内に成立させられるかどうか、政権の命運がかかった正念場となる。

 自民、公明など野党は、参院で問責決議が可決された閣僚を代えない限り、国会審議を拒否するという方針を譲らない。であるなら、仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の交代はやむをえない。そんな現実的な判断を、首相は下したのだろう。

 たしかに、「第二院」とはいえ、「参院の意思」としての決議は重い。

 しかし、問責決議に法的拘束力がないことは改めて指摘しておかなければならない。それが事実上、政治的に閣僚の生殺与奪の権を握るような事態は、衆院の「優越」を定めた憲法の想定を超えているだろう。

 憲法63条は、首相その他の国務大臣は「何時でも議案について発言するため議院に出席することができる」と、閣僚の権利を定めてもいる。

 問責した閣僚が出席する国会審議には一切応じないとする野党の姿勢は、この明文規定に照らしても「無理筋」(仙谷氏)というほかない。

 国会に求められる政府へのチェック機能は、徹底した審議を通じて発揮されるべきである。

 今回、結果的に仙谷、馬淵両氏が交代するからといって、これを今後の国会運営の慣例にしてはならない。

 民主党の岡田克也幹事長は、問責決議の位置づけを含め、衆参両院の関係のあり方を与野党で議論したい考えを示した。

 政権交代時代を迎え、どの政党にも与党になる可能性がある。野党も当事者意識を持って、共通認識を得るべく真摯(しんし)に話し合いに応じて欲しい。

 一方、首相はたちあがれ日本を離党した与謝野馨氏を政権に迎え入れる方針だ。自民党時代から消費税増税を含む財政再建に熱心だった与謝野氏に、税と社会保障の一体改革の推進役を期待してのことだろう。

 ただ、与謝野氏はかつて民主党政権の経済財政運営を厳しく批判した経緯がある。どこが一致し、どこが一致できないのか、首相、与謝野氏の双方から納得できる説明を聞きたい。

 政策通で、官僚組織の動かし方にたけているとはいえ、無所属となった与謝野氏がたった一人で政府に乗り込んでも、力量を発揮できる保証はない。異例の起用を結果に結びつけられるか、首相の力量もまた問われる。

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政権公約見直し―予算案修正と一体で臨め

 民主党がきのうの党大会で、夏までに2009年衆院選のマニフェスト(政権公約)を見直す方針を決めた。

 この政権公約を土台に編成している新年度予算案についても、同党の岡田克也幹事長が先日、「修正に否定的ではない。政府が出したものが最終ではなく、議論で変えることはあっていい」と述べている。

 問題のある政権公約や予算案について、政府・与党が修正に柔軟な姿勢を示したことを評価したい。

 ただし公約の見直しが夏というのは遅すぎないか。

 十分な党内論議を積み重ねることはもちろん必要だ。とはいえ、これから開く国会で審議する新年度予算案に、見直しの成果がまったく反映されないのではつじつまが合わなくなる。

 政策の行方が今後どうなるかわからないという状況のなかで、予算案を通してくれと言われても、野党が理解を示すとは思えない。

 国会開会中の本格的な予算案修正は極めて異例である。過去には小規模な修正例が数件あるだけで、枠組みを変えるような大がかりな修正例はない。だが今こそ、それも辞さない覚悟を、政府・与党に求めたい。

 予算案修正が必要なのは、単に成立を図るための国会対策の方便としてではない。鳩山政権以来、予算の土台となってきた政権公約は、財源の確保や制度づくりの難しさに照らして、かなり修正が必要なことがはっきりしているからである。

 例えば政権公約の目玉の一つである高速料金の原則無料化は、他の公共交通機関への影響、渋滞や財源の問題があって、もはや最終ゴールにはなりえない。にもかかわらず新年度予算案に社会実験の継続が盛り込まれるのは、説得力を欠く。

 農業の戸別所得補償は、零細農家を含めすべての販売農家を対象としたことで農地集約の障害となり、効率化が進まないという欠陥が露呈した。それを放置したまま制度を続けるのか。

 子ども手当は、政権公約にうたった額の半分、月1万3千円の給付を続けるが、いずれ満額まで上積みする前提なのか。現物給付に重点を移す道や所得制限導入の是非も論点として残る。

 もろもろの政策の行き着く先が見えぬままでは、国民は制度継続を前提に生活設計はできない。適切な方向に早くかじを切り直し、国民生活や経済活動が停滞しないようにすべきだ。

 それには主要施策の政権公約だけでも前倒しで見直し、国会論戦を通じて予算案を柔軟に修正すべきである。

 もちろんその際、菅直人首相は修正理由と新たな政策の方向について、国民に丁寧に説明しなければならない。野党もいたずらに審議を拒むことなく、国民本位で判断してもらいたい。

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