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1月13日付 編集手帳

 「コント55号」が人気絶頂の頃という。萩本欽一さんが疲れた顔で語った言葉を、作家の小林信彦さんが著書に書き留めている。〈一度、人気が落ちないと、本当に良い仕事はできませんよ〉(文芸春秋『天才伝説 横山やすし』より)◆充電なしに放電が求められる。ネタを練る時間もない。分かってはいても、人気が上げ潮のときに電波という怒濤(どとう)の“波乗り”を打ち切るのはむずかしい。その苦衷を語ったものだろう◆波から身を引く、引き方が鮮やかである。ニュース解説で人気のジャーナリスト池上彰さん(60)が一切のテレビ・ラジオ出演をやめて充電し、取材と執筆に専念するという◆新聞記者にとって池上さんは胸をチクリと刺す「針」のような存在である。政治・経済であれ、国際情勢であれ、新聞を読みさえすれば複雑な事象もすっきり頭に入り、池上さんの出る幕は金輪際ない。そう胸を張れるような、分かりやすい記事を書け――と、針はわが身を刺す。いい意味の痛みということでは、「(はり)」が適切かも知れない◆充電を経て、鍼はさらに研がれるのだろう。痛がってばかりもいられない。

2011年1月13日01時27分  読売新聞)
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