HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 12 Jan 2011 20:09:53 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:地域主権改革 金看板が泣いている:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

地域主権改革 金看板が泣いている

2011年1月12日

 中央集権から地方分権へ、国のかたちを変える地域主権改革がはかどらない。国の出先機関の廃止は先送りされ、緒に就く補助金の一括交付金化は実効性が怪しい。これでは、政権の金看板が泣く。

 民主党は政権奪取した二〇〇九年衆院選のマニフェストで、国土交通省の地方整備局など出先機関の原則廃止を盛り込んだ。二重行政の解消とともに、公務員の人件費を削減するための手段として期待された。が、霞が関の抵抗は想像以上だった。

 昨年末に閣議決定したアクションプランによると、関連法案提出を一二年の通常国会と一年先送りし、法成立後に二年の準備期間を設け、実際の移管は一四年度を目指す。全国知事会が強く求めていたハローワークの移管は厚生労働省の提案に沿い、国と地方で一体的な運営を三年間行った上で検討することになった。移管反対の連合にも配慮したのだろうが、先延ばしの口実としか思えない。

 これが、アクションといえるのか。まして一四年度とか三年後に、民主党政権はどうなっているのか。衆院議員の任期をまたいだ約束を信じろといわれても、だ。

 ただ、複数の都道府県にまたがる河川やダムを想定し、ブロック単位の移管と広域連合の整備に言及した点は前進といえ、自治体に受け皿整備の課題を投げかけた。

 一括交付金は、国が使途を細かく決める「ひも付き補助金」(総額二十一兆円)を、自治体の裁量で使えるよう改める。一一年度は公共事業(三・三兆円)のうち五千百二十億円を都道府県に配る。一二年度には市町村分を含め一兆円規模とする。霞が関を説得したギリギリの政治主導だろう。

 ただ、道路や学校など国が示すメニューから選ぶ形で、自治体の自由度は限られる。関係府省が関与する余地を残そうとした痕跡がうかがえる。ひもは消えたが、操り人形のように見えない糸が残ったわけだ。結果的には、すべてが継続事業に費やされそうだ。

 自治体には、配分基準はどうなるのか、補助金総額が減らされないか、など疑心暗鬼が広がる。将来的には税源移譲につなげなければならず、単なる衣替えに終わっては意味がない。

 地方分権の議論は二十年余続くが、大きな進展はない。民主党は「地域主権」と言い換え、改革に意欲を示した。なのに党内には、野党に配慮して、思いを込めた文言を削除する動きがある。看板を下ろすことにならないか心配だ。

 

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