HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 12 Jan 2011 23:09:49 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:NHK会長 人事の迷走目に余る:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

NHK会長 人事の迷走目に余る

2011年1月13日

 NHKの会長人事が白紙に戻った。任免権を持つ経営委員会が内諾した前慶応義塾長に撤回を突きつけたからだ。政治と距離を置き、経営だけでなくジャーナリズムを理解する人材を選ぶべきだ。

 会長人事を決めた側がその決定を覆す。英BBCに次いで世界第二位という存在感の大きな公共放送で起きた事態とは信じ難い。

 十二人で構成する経営委員会は会長任免のほか、経営の重要事項を決定するNHKの最高意思決定機関だ。二十四日に任期が切れる福地茂雄会長の後任として、昨年暮れに委員会が安西祐一郎前慶応義塾長に白羽の矢を立て、固辞する安西氏を小丸成洋委員長が口説き落とした。

 ところが、安西氏が受諾の条件に「副会長人事は自ら決めたい」「都内に部屋を用意してほしい」「交際費はどれくらい使えるか」を挙げたとの風評が流れ、経営委員の反発を買ったとされる。風評の出所は不明だが、怪文書まで飛び交う事態は尋常でない。

 正式決定には委員十二人のうち九人の賛成が必要で、小丸氏は安西氏に受諾を撤回するよう異例の申し入れを行った。安西氏は「悪意に満ちた風評に基づく判断」と怒り、会長就任拒否で対抗した。

 福地会長が高齢などを理由に降板を表明したのは一昨年のことだ。人選は経営委の最重要事項であり、どう人選を進めたのか。小丸氏は「NHK改革は外部出身者が担うべき」が持論だが、小丸氏は安西氏に会長就任を打診するまで面識がなく、人となりすら知らなかったとされる。経営委の事務局による人選ではなかったか。

 NHKの会長職は政治と一線を画し、情報を公正、中立に伝える最高責任者のはずだ。経営委は視聴者の代表として的確にそれが実現されているかのお目付け役だ。自民党政権時代は、郵政族議員と人選を進めるのが慣習とされ、政治家と近い人選が続いてきた。

 それも、政権が交代したことによって、NHKの自由度が高まり、今や独立性を強める千載一遇の好機ととらえるべきだ。それは政治に動かされないNHKの独自性を築く絶好のチャンス到来でもある。

 このところ、安全保障問題などを扱ったドキュメンタリーや歴史の検証、ドラマなど、NHKの番組に対する評価が高まっている。組織の混乱が番組づくりの現場を萎縮させてはならない。「みなさまのNHK」を見失っては、再び受信料の不払いを招く。

 

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