HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 12 Jan 2011 00:11:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:日韓防衛協力 議論尽くして段階的に:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

日韓防衛協力 議論尽くして段階的に

2011年1月12日

 日本と韓国の防衛相会談がソウルで開かれ、自衛隊と韓国軍が物品や役務を相互に融通する協定の協議を始めると合意した。防衛協力の第一歩だが、日韓の歴史を考えれば克服すべき課題は多い。

 日韓両国は米国とはそれぞれ同盟関係にあるが、二国間では防衛に関する協定はない。

 今回の会談で北沢俊美防衛相は自衛隊と韓国軍が食料や水、燃料などを融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)の締結を提案し、金寛鎮国防相も協議に入る意向を示した。日本は既に米、オーストラリアと協定を結んでいる。

 日韓両国が目指すACSAは国連平和維持活動(PKO)、人道的支援、海上での捜索救助など「平時」の活動に限られ、「朝鮮半島有事」は対象にしていない。

 自衛隊と韓国軍は大地震被害を受けたハイチのPKOに参加し、共同で倒壊した学校の解体やがれき除去にあたった実績がある。協定ができれば国際舞台での協力は深まろう。双方は軍事情報包括保護協定の必要性も確認した。

 日韓接近の背景には、北朝鮮の軍事挑発、中国の海洋進出に対抗して、日米韓の連携を深めたいというオバマ米政権の意向も反映している。

 だが、防衛協力をどこまで進めるか、日韓には明らかな見解の相違がある。日本側は日韓関係を重視する李明博大統領の在任中に防衛協定を実現させたい意向だが、植民地支配を受けた韓国には自衛隊に対する拒否感、アレルギーが根強い。

 韓国紙・中央日報は「韓日両国が果たして軍事協定を締結できるほど、互いを信頼する関係だろうか」と指摘した。東亜日報は中国を刺激することを懸念して「日本との軍事協力拡大は、韓米日対中朝という陣営対決に巻き込まれる」と慎重な見解を示した。

 日本は憲法を踏まえ、さらに韓国世論を十分に考慮して防衛協力の論議を尽くすべきだ。PKOで相互支援の実績を積んだうえで、軍事行動を伴わない他の事業に段階的に進むのが賢明なやり方ではないか。

 日本には朝鮮半島有事の際の在留邦人救出という重い課題があるが、在韓米軍だけでなく韓国側との話し合いも必要になろう。

 今週末には前原誠司外相が訪韓する。日韓外相には経済協力やアジアの途上国支援などで相互の信頼を高めながら、安全保障の意見交換をするよう望む。

 

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