HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 10 Jan 2011 23:09:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:相次ぐテロ 許されない憎悪の拡散:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

相次ぐテロ 許されない憎悪の拡散

2011年1月11日

 米アリゾナ州で起きた銃乱射事件は、米社会が直面する分断の深刻さを露呈した。年明けから世界各地で衝撃的なテロが相次ぐ。米中枢同時テロから十年の今年、憎悪の拡散を許してはなるまい。

 米国アリゾナ州の銃乱射事件で重傷を負ったギフォーズ下院議員は民主党若手のホープだった。オバマ政権の医療改革を一貫して支持したため、反対勢力から妨害や脅迫を受けていたが、怯(ひる)むことのない気概を見せていたという。

 アリゾナ州は深刻な移民問題も抱え、昨年の中間選挙では規制問題を機に民主、共和両党の対立が先鋭化した。逮捕されたロフナー容疑者には精神的な問題もあるとされ動機は明らかではないが、地元保安官は、政治対立をめぐる「国内の怒り、憎しみ、偏狭さは常軌を逸しつつある」と述べ、深刻さを増す社会の軋(きし)みが背景にある、と指摘した。

 対話と和解を訴えて誕生したはずのオバマ政権にとって、突きつけられた理念と現実の落差はあまりにも大きい。

 オバマ政権が掲げる「イスラム対話」に逆行するテロも相次いでいる。エジプト・アレクサンドリアでは、元日未明に少数派キリスト教・コプト教会がイスラム過激派の自爆テロに襲われ、二十三人が死亡する痛ましい事件があった。パキスタンでは、四日に政権党人民党州知事が、メディアでの発言が反イスラム的だったとして警護員によって暗殺された。

 暴力による民主的秩序の破壊が許されないことは言うまでもない。キリスト教徒への攻撃に対し、メルケル独首相はじめ各国首脳が相次いで非難声明を発表したのは当然のことだ。

 欧州でも、昨年末以来テロ計画が相次いで摘発されている。デンマークでは、二〇〇五年にムハンマドの風刺画を掲載してイスラム社会から国際的反発を買った新聞社を狙ったテロ計画が発覚した。辛うじて未然に回避できたが、各国で同種テロが再発する懸念は依然消えていない。

 中枢同時テロから十年。一連の事件の動機、背景は一様ではなく、連動していると考えたくないが、憎悪をあおり、利用する意図は共通していよう。

 米国、フランスなど主要国の大統領選挙が来年に迫っている。政治家が仮にも大衆迎合的政策の誘惑にかられることがあってはならない。憎悪と非寛容の放置がもたらしかねない惨禍は、二度の大戦で学んでいるはずだ。

 

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