
HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 40726 Content-Type: text/html ETag: "103fab-1e3c-f01067c0" Expires: Mon, 10 Jan 2011 02:21:04 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 10 Jan 2011 02:21:04 GMT Connection: close
![]() 新成人へ 世界に大きくはばたこう(1月10日付・読売社説)今日は成人の日。1990年生まれの新成人124万人が、新たな門出を迎える。 大人としての自覚と責任を胸に、確かな一歩を踏み出してほしい。 とはいえ、景気低迷による超氷河期の就職難で、将来に不安を抱いている人も多いことだろう。 年金や医療への財政負担が増え国の借金はかさむ一方だ。そのツケは、今の若い世代に回る。 経済力の面でも、中国や韓国の攻勢に押されて、世界における日本の存在感は低下しつつある。 豊かな未来を切り開いて行くためには、グローバル化が進む世界の活力を日本に取り入れることが欠かせない。 気がかりなのは、今の若者の間に「内向き志向」が強まっていることだ。 2008年の日本人留学生の数は約6万7000人で、ピーク時の04年の8割に減っている。特に米国留学の減少が目立ち、その数は、中国やインド、韓国などからの留学生に引き離されている。 ◆留学嫌う内向き志向◆ なぜ留学生が減っているか。留学には費用がかかる。帰国後の就職先にも不安があるだろう。 だが、米国の大学には世界の頭脳が集まり、そこで緊密な人的ネットワークが作られる。留学者減少は、知財立国の将来に暗い影を投げかけることにならないか。 途上国で技術支援を行う青年海外協力隊への09年度の応募者は、約4700人で、1万人を超えていた1990年代の半分以下だ。最近は海外勤務を望まない新入社員も増えているという。 今の若者は、バブル崩壊後の90年代に育ち、時代の閉塞感を敏感に受け止めてきた世代でもある。安全で確実な道を歩みたい気持ちが強いのかもしれない。 近年は「ガラパゴス化」という言葉が話題になっている。独自に進化した生物が生息する南太平洋のガラパゴス諸島を、今日の日本に例えている。 携帯電話などの技術や基準が国内市場に特化されすぎた結果、世界展開への弊害となっている状態を 周囲から隔離された環境で進化を遂げた生物は、外来種の攻撃に弱い。世界の厳しい現実を見ようとせず、居心地のよい日本に安住する若者を、ガラパゴス諸島のイグアナに見立てる人もいる。 内向き志向に陥ることなく、もっと危機感を持って世界に目を向けてほしい。 ◆ネット世界も言葉の壁◆ 日本の大学を卒業した外国人を積極的に採用する企業もある。そのような人材が、日本企業で活躍する機会は、ますます増えるだろう。石にかじりついてでも日本語を習得しようとする外国の若者とも、競争しなければならない。 内向きである理由の一つとして英語力不足も指摘されている。企業の中には、国際事業を円滑に展開するため、英語の社内公用語化に踏み切ったところもある。 今はインターネットで、世界中の人々と交流が出来、様々な情報を取得できる時代である。 米国にあるネット上の交流サービス(SNS)最大手、フェースブックは、世界各地から5億人を超える人々が参加して、英語で情報交換を進めている。 しかし、こうしたサービスを利用する日本人は少ない。ボタン一つで世界が一つになるネット社会にも、言葉の壁が存在する。 明治の青春群像を描いた司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」が、テレビドラマにもなって、話題をよんでいる。 ◆「坂の上の雲」を超えて◆ 明治維新後の時代の波にもまれながら軍人となり、広く世界に知識を求めて留学した主人公の秋山好古・真之兄弟は、今の若者にとってはるか遠い存在だろう。 日清・日露戦争、昭和戦争と続く激動の時代を乗り越えて、戦後復興と高度成長を経た日本。しかし、今は曇天の下であえいでいるかのようだ。その雲の中に一条の光を見いだし、自らの目標とすることが若者には必要だろう。 政治を変えうる1票を投ずる権利を手にしたことも、新成人は忘れないでほしい。 「永遠の楽観主義をもって高い夢を追い続けよう」。昨年、ノーベル化学賞を受賞した根岸英一さんが、若者に寄せた言葉だ。 新成人は、若さと柔らかい感性を持って、明るい未来を築いて行ってほしい。 (2011年1月10日00時59分 読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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