HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 08 Jan 2011 20:12:16 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:誰かに何かをおごられると借財を負ったような気になる時もあろ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2011年1月8日

 誰かに何かをおごられると借財を負ったような気になる時もあろう。だが、いや、むしろ逆だと漱石先生が描く『坊っちゃん』は言う▼同僚教師の山嵐に氷水一杯、一銭五厘をおごってもらったことを、<他人から恵(めぐみ)を受けて、だまっているのは向(むこ)うをひとかどの人間と見立てて、その人間に対する厚意の所作だ>と。だから、むしろ、おごった方こそ<難有(ありがた)いと思ってしかるべきだ>。確かに一面の真理かもしれない▼そこで思うのは、レアアース(希土類)をめぐる中国の姿勢である。一時期の輸出停滞は改善されたが、先ごろも、一部の輸出関税引き上げを業界に通告。国内で関連企業の協会設立の動きもあって、今後の値上げも懸念される▼何にせよ、この件でも、高圧的な彼(か)の国の態度は相変わらずのようだ。だが、たとえ、売る側が圧倒的優位に見えても、実は、買う側から信用してもらっているからこそ成り立つのが商いである▼<厚意の所作>とまでは言わないが、坊っちゃん流に言えば、中国を<ひとかどの国>と見立てていればこそ安定供給を信じて買っていた輸入国だ。それが怪しくなった以上、他の供給源開発など、一斉に退避行動に出るのは当然だろう▼ほかのことでも似たようなことが起きないか…。他国にそんな疑念が広がるのも自然だが、それこそが中国にとっての大損失ではあるまいか。

 

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