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1月6日付 よみうり寸評

 〈学問のさびしさに堪へ炭をつぐ〉――きょうは二十四節気の小寒で寒の入り。寒というと山口誓子のこの句を思い浮かべる◆長い間、この句の「さびしさ」を「きびしさ」と誤って覚えていた。「炭をつぐ」が、厳しい寒を連想させたせいかもしれない◆が、誓子自身の解説によれば「学問のきびしいことは()うまでもない。私はその上にわびしさを(うた)ったのだ」。この句は東大法科の学生だった誓子の東京・本郷の下宿における自画像。法律の勉強は味気なくわびしい。火鉢の炭火が尽きて冷えてくる◆さびしさときびしい寒さに堪えつつ炭をつぎ足して暖を採る図だが、冷暖房が整った当節は炭や火鉢とはすっかり無縁になった◆「火鉢が姿を消したら『炭をつぐ』がわからなくなるだろう」と、これも誓子の自解にある。おかげで人間の体温調節機能が退化しないかなど余計な心配も出る◆寒げいこ、寒参りの厳しさに堪える力も弱まらないか。〈寒鯉(かんごい)一擲(いってき)したる力かな 虚子〉。寒中、そんな力を失いたくない。

2011年1月6日13時39分  読売新聞)
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