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１月６日付　編集手帳

　チャーチルに、ある人が尋ねた。「一度も絵を描いたことのないような人物が、名士というだけで美術展の審査員をしています。いいものでしょうか？」◆英文学者、外山滋比古(とやましげひこ)さんの『ユーモアのレッスン』（中公新書）によれば、大宰相は答えた。「別に悪くないでしょう。私はタマゴを生んだことは一度もありませんが、タマゴが腐っているかどうかは分かります」◆専門家でなくても、香気と腐臭の区別はつく。“政治とカネ”の小沢一郎氏も、検察審査会が法律のプロ集団でないからといって、その議決にもとづいて月内にも予想される強制起訴を見くびってはならないだろう◆菅首相は記者会見で、起訴された場合には議員辞職も念頭に出処進退を判断するよう、小沢氏に促した。きょうは「寒の入り」、小沢氏もこれから寒風が骨身にしみとおる季節を迎える◆〈寒玉子(かんたまご)即(すなわ)ち破(わ)つて朝餉(あさげ)かな〉（阿波野青畝(あわのせいほ)）。一句のように気合よく、潔く、まずは国会での説明に進んで立ち、疑惑の殻を割ってタマゴの鮮度を証し立てるしかない。説明の向こうにのどかな春が待っている保証はないとしても、である。