HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36545 Content-Type: text/html ETag: "f4e2a-1278-92b50400" Expires: Tue, 04 Jan 2011 20:21:45 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 04 Jan 2011 20:21:45 GMT Connection: close 1月5日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

1月5日付 編集手帳

 男の子も女の子も正月などに新調の服を着ていると、遊び仲間から背中や腕を「おはつ」と言ってポンと(たた)かれた。作家の戸板康二氏が随筆で子供の頃を回想している◆〈お初を着ている者が祝福と羨望をないまぜにした目で注目され、叩いてもらって厄落としをしたわけであろう〉と(三月書房『夜ふけのカルタ』より)◆江戸の庶民はふんどしに包んだ銭をわざと道端に落として厄落としをしたというが、形ばかりの小さな厄災によって不運はこれで出尽くしたと胸をなでおろす習わしは、子供の世界にも長く引き継がれていたのだろう◆いまの子供たちが新しい服を買ってもらうのは正月に限るまい。というよりも、新調しても周囲が気づかないくらいに、きれいな身なりを普段からしている。初日の出、初詣、初笑い、書き初め…初の字のつくおめでたい言葉のなかではおそらく最も人なつこい一語だろう「おはつ」は、もはや遠い死語である◆年末年始の休日ボケで、ドジの“踏み初め”をした人もどこかにいるかも知れない。自分の頭を「おはつ」と言ってポンと叩き、厄落としをするのもよろしかろう。

2011年1月5日01時14分  読売新聞)
現在位置は
です