きのうが仕事始めという企業が多かったようだ。あちこちの職場で休み明けの顔を合わせ「さて、今年はどんな一年になるか」という話が交わされたに違いない▼書きだしたばかりのこの原稿と同じで、この一年はまだ、ほとんど白紙だ。つまり、今なら自由に思い描ける。どうせなら、「今年はいい一年になる」と口に出してみてはどうだろう▼何かを「よい」と評価するなど、自分がある行動をとる。すると「そういう行動を取った以上、自分はそう思っていたのだ」と自覚する面が私たちにはあるそうだ。自己の振る舞いが自己の意見や感じ方に影響する。心理学では「自己知覚理論」というらしい▼素人考えだが、ならば、元気に振る舞えば元気になってくる、ということにもなろう。たとえば、きのう、今年初の取引があった株式は七カ月半ぶりの高値でひけたという。たった一日のことだが、まずは、あの理論に従い、「日本経済は今年よくなりそうだ」と口に出しておこう▼無論、経済には限らない。そういえば、昨年の中日新聞の「歌壇」年間優秀作にはこんな作品があった。<街を行く人らの顔が去年より好意的に見え好意的に見る>名古屋市・杉大輔▼今年は何事も、少し「好意的に見る」という行動を心掛けようか。それが自分の感じ方に影響し、いろんなものが「好意的に見え」てくるなら悪くない。