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1月3日付 編集手帳

 <歌舞伎座の前通りけり初芝居 正岡子規>。着飾った老若男女が、見たばかりの新春狂言の感想を披露し合っている。子規もまた、そんな年の初めの華やかな光景に加わったのだろうか。<初芝居見て来て晴着いまだ脱がず〉という句もあった◆この正月は残念ながら、東京・東銀座の歌舞伎座は建て替え中である。まだ基礎工事の段階で、数十メートル四方の空間がぽっかり広がるのみだが、周囲を覆う鉄板壁から、何を建設しているかはおのずと分かる◆普通なら武骨なだけの鉄板に、定式(じょうしき)幕を模して黒、柿、萌黄(もえぎ)の3色をあしらっているからだ。歌川豊国の役者絵パネルなども目を引く◆楽屋話で恐縮ながら、読売新聞東京本社が近所に移転したため、建て替え現場をながめつつ出勤している。長年親しまれた桃山風の建物が消えたのは寂しいものの、新たな殿堂が姿を現す過程を見守るのも幸せなことであろう◆もちろん、公演は近隣の劇場に引き継がれているのだけれど、<初芝居>の季語は、やはり歌舞伎座が一番似合う。建築の進行と共に日本が元気になるよう祈願し、また晴れ着であふれる時を待ちたい。

2011年1月3日01時35分  読売新聞)
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