HTTP/1.1 200 OK Date: Mon, 03 Jan 2011 03:12:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:「山の神」が泣いたのは、昨年十一月の全日本大学駅伝で、チー…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

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2011年1月3日

 「山の神」が泣いたのは、昨年十一月の全日本大学駅伝で、チームが三位に終わったときだった。区間四位に沈んだ東洋大のエース柏原竜二選手は「ふがいない。せっかく一年生がいいスタートを切ってくれたのに…」と声を詰まらせた▼二〇〇九年、昨年と箱根駅伝を制したチームの立役者。八百メートルの標高差を駆け上る5区で、先行する走者を次々に抜き去っていく激走ぶりは新春らしく爽快だった▼栄光の後、試練が彼を襲う。二月ごろに右ひざを故障。春のシーズンは体調が十分でないままレースに臨み不振が続いた。「だれも知らないところに行ってしまいたい」。そんな弱音を吐いたことも▼きのうの箱根駅伝(往路)で「山の神」は見事に復活した。三位でたすきを受け取った柏原選手は、2分54秒もの差をものともせず、二位の東海大、首位の早稲田大を追い抜き、往路新記録で往路三連覇を成し遂げた▼不調にあえぐ中、彼はある結論を得たという。「焦りからは何も生まれない。焦る時間があったら練習したほうがいい」。苦しんだ分、価値ある勝利だ。仲間に感謝の気持ちを伝える声は涙で震えていた▼仲間にたすきをつないだ後、駅伝の走者は力尽きたように崩れ落ちる。倒れ込んでしまうほど力を出し切ったことが最近はあっただろうか。正月の若者の力走は、怠惰なわが身と心を引き締めてくれる。

 

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