HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 18027 Content-Type: text/html ETag: "827581-466b-3c250d00" Cache-Control: max-age=5 Expires: Sun, 02 Jan 2011 23:21:10 GMT Date: Sun, 02 Jan 2011 23:21:05 GMT Connection: close
Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
西日本は荒天の年明けとなった。冬空にとどろく雷を雪起こしという。雷鳴にたたき起こされた雪雲が年をまたいで暴れ、山陰は記録的な積雪である。鳥取県内の国道では渋滞の列に降り積もり、約千台が動けなくなった。車中で年を越した人も多い▼数珠つなぎになった白い車列を元日朝のニュースで見て、わが国の政治を思った。立ち往生している間に外の景色が一変し、抜き差しならなくなる、まさにその瀬戸際である▼東京は申し訳ないような青空に恵まれた。散歩がてら、小沢一郎氏の新年会を塀の外からのぞいてきた。豪邸の前には撮影用の脚立が20ほど並んだ。玄関脇でバーベキューらしき煙が上がり、談笑や拍手が漏れてくる▼約120人の国会議員が顔を出したという。前年より3割ほど少ないが、一兵卒とは思えぬ威勢だ。去年の会で万歳三唱の音頭を取ったとされる菅直人氏は今年、同じ時間帯に首相公邸で祝宴を催した。親小沢、脱小沢に分かれての、まとまりのない新春風景だ▼くすぶる民主党に構わず、野党が政策を研ぎ澄ます風でもない。さる忘年会で自民党の議員らと座敷が隣り合わせになった。聞こえてきた歌は「春が来た」だった。敵失を喜び合うような政治は、しばらく封印したい▼国際関係も経済も、車窓の景色は倍旧の速さで移ろうのに、永田町は緩いまどろみの中にある。すべての政治家は、国益、暮らし向きといった自らの存在理由を行動で示す時だ。内からでも外からでもいい。「国起こし」の雷鳴がこれほど待たれる正月はない。