HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 30 Dec 2010 02:10:07 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:自転車事故多発 走る凶器に警告する:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

自転車事故多発 走る凶器に警告する

2010年12月30日

 街中に走る凶器があふれている。自転車である。歩行者らをはねて死傷させる事故が後を絶たない。手ごろで環境に優しく健康に良いと評判だが、ハンドルを握ったら重い責任を自覚してほしい。

 携帯電話を使いながら片手で運転したり、音楽プレーヤーで両耳をふさいで運転したり。そんな危なっかしい自転車が目立つ。人波を縫うように猛スピードで走り抜ける光景も珍しくはない。

 手軽さゆえの気の緩みからか自転車事故が増えている。二〇〇九年は歩行者との事故が十年前の約三・七倍、自転車同士の事故が約四・四倍に上った。

 一瞬の油断がもたらす代償は大きい。夜間、携帯電話を見ながら無灯火で走っていた女子高生の自転車が前を歩いていた看護師の女性に追突した。女性は首にけがをして歩行困難の障害が残った。五年前、横浜地裁が支払いを命じた賠償額は約五千万円に上った。

 相手が死傷すれば、自動車事故と同じように刑事と民事の両面で重い責任を問われる。自転車には一生を棒に振りかねない危険が常に潜んでいる。利用者はそれを肝に銘じておきたい。

 道路交通法は自転車を車両と定め、車道の左端を走るよう求めている。幼い子やお年寄りといった例外はあるが、実際には車を不安に感じたり、止まっている車が邪魔だったりして歩道に乗り入れる自転車は多い。走行が許されている歩道でも、歩行者を妨げないよう車道寄りを徐行するといった決まりは守られていないようだ。

 車道と歩道を切り分けて自転車の通行路を造る計画が全国で進められているが、滞りがちだ。道路が狭い。沿道の理解が得られない。財政上の制約がある。そんな事情が支障になっている。だが、いつまでも足踏み状態では困る。

 自動車損害賠償責任保険のような、被害者救済のための強制加入の保険制度が自転車にないのも問題だとの指摘がある。被害者が泣き寝入りせざるを得ない事態が起きているというから深刻だ。

 損害保険業界は人を死傷させたり、物を壊したりすると支払われる任意の個人賠償責任保険に加入するよう勧めるが、普及には限界がある。強制保険の導入をはじめ、不慮の事故を見据えた自転車政策を真剣に検討するべき時期が来ている。

 利用者の交通ルールの順守が大切なのは言うまでもない。警察は悪質な違反者には断固たる姿勢で臨んでほしい。

 

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