HTTP/1.0 200 OK Server: Apache/2 Content-Length: 18090 Content-Type: text/html ETag: "8248d6-46aa-8c463800" Cache-Control: max-age=5 Expires: Wed, 29 Dec 2010 20:21:11 GMT Date: Wed, 29 Dec 2010 20:21:06 GMT Connection: close
Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
冬枯れの公園で藪柑子(やぶこうじ)の赤い実が鮮やかだ。それぞれの喜怒哀楽を積み上げて、難しかった年がゆく。冷えた手をかざす焚(た)き火がほしい、師走の言葉から▼徳島が拠点の落語家の桂七福さん(45)は、自身のいじめられ体験をもとに小中学校で講演を続けてきた。今いじめられている子には、「人間はほっとっても寿命が来たら死ぬ。だから、どんなに悩んでも自分から死ぬ方向には絶対に行くな」。訪ねた学校は延べ100校になる▼北海道の森の木を使った職人手作りの椅子を、生まれた子に贈るプロジェクトがある。発案者の旭川大学客員教授磯田憲一さん(65)が、新たな命を祝福しつつ言う。「大きくなってこの椅子を見たら、自分がどれだけのものに包まれていたのか気づくはず」▼自宅など私的な空間を人の集う場に開放する「住み開き」が静かに広まる。提唱する大阪のアーティスト、アサダワタルさん(31)は「お隣が誰かも知らない個人主義の時代。地域とつながるのは面倒くささもある。それでもみんな、独りぼっちになりたいわけじゃない」▼ケータイ世代の高校生伊谷陽祐さん(18)は、関東の仲間たちと「日本高校生学会」をつくった。互いに会って話すことにこだわる。「だって、メールだけで『この人いいな』とか思いたくないじゃないですか」▼4人目の子を堕(お)ろすかどうか迷い、産むと決めた千葉県の佐々木七海さん(36)が声欄に「7月には新しい家族が増えます。愛情をタップリ注ぎ、新しい命と共に頑張ります」。卯(う)の年の子よ、存分に跳ねよ。