HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 28 Dec 2010 20:09:39 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:地方の特区 逃げずに国は議論を:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

地方の特区 逃げずに国は議論を

2010年12月28日

 知事会の“一揆”だという。進まない地方分権にしびれを切らした四十七都道府県知事が国に構造改革特区を一斉提案した。果たして“討幕軍”となるのか。国は逃げないで真剣に議論してほしい。

 地域限定で規制緩和する特区制度を利用して、国が義務付け・枠付けする全国一律の壁を突き崩そうというのだから、奇策であり奇襲だ。まとめ役の山田啓二京都府知事は「地方からの世直し一揆だ」と言ってはばからない。

 構造改革特区は小泉改革の一環として二〇〇三年から始まった。これまでに千百件超が認められ、どぶろく特区など各地に波及したものや、NPOによる過疎地の有償運送など全国展開となった例も多い。

 今回の一斉提案は、全知事の三分の二が賛同した二十三項目、生活に密着した懸案に絞った。なぜ、こんなことまで国が決めているの?と思うことばかりだ。

 例えば、乳児一人当たり一・六五平方メートル以上などと定めている保育所の設置基準を、実施主体の市町村に移譲するよう求めた。保育士資格者が自宅で子どもを預かる「保育ママ」の面積を六畳以上とする基準も同様。いずれも全国二万六千人といわれる待機児童の解消とともに、就労機会の拡大につながるだろう。

 回復期リハビリテーション病棟の廊下幅二・七メートル基準は廃止を求めた。二・一メートル幅の一般病棟からの転換が建て替え不要となるからだ。どの提案も、地方の現場を知らない霞が関による上意下達ぶりを浮き彫りにさせる。

 だが、各府省の第一次回答は予想通り「不可」が大半。「行政には最低基準が必要」「地方は責任が取れるのか」との言い訳は、もはや常套句(じょうとうく)だ。知事側との意見交換を経て二月末には結論が出るという。まさに政治主導の見せどころ、開かれた議論を望みたい。

 地域主権改革は民主党政権の「一丁目一番地」のはず。二本柱である補助金の一括交付金化は実効性に疑問が残り、国の出先機関廃止は再来年度に先送りとなった。構造改革特区を進化させ、予算・税制面も優遇しようと新成長戦略に盛り込んだ総合特区は、事業仕分けの結果、予算は減額計上となった。

 こうした迷走を見るにつけ、国主導では分権改革ができ得ないのかと思ってしまう。ならば、せっかく知事会が投げてくれたボールぐらいはしっかり受け止め、投げ返さないでどうするのか。

 

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