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寅(とら)年も残すところわずか。様々な故事や寓話(ぐうわ)にひっぱりだこの虎だが、「苛政(かせい)は虎よりも猛(たけ)し」はよく知られる。むごい政治が民衆を苦しめるのは、虎の害より甚だしいの意味で、中国古典「礼記」にある▼悪政にも色々あって、苛政は重税や兵役などで民をさいなむ政治をいう。これに対し秕政(ひせい)は、無能で不誠実な為政者による悪政を言うそうだ。「秕」とは皮ばかりで実のない穀物のことという。そんな隣国の故事はさておいて、わが政界に色々の思いを募らせた一年が暮れていく▼民主党政権は最後まで締まらなかった。数合わせの工作ではとうとう、宗旨のおよそ異なる「たちあがれ日本」にもプロポーズした。振られたのは無理からぬ成り行きだ。ご都合主義にまた嘆息、の向きは少なくなかったろう▼看板の「脱官僚」も、いよいよ消え入りそうな雲行きだ。かつて自民党は官僚を囲い、官僚は族議員をラッセル車にして予算を取り、共存共栄を果たしてきた。郷愁の歌声に志を折り、あっさり唱和してしまうのだろうか▼「政治とカネ」では、小沢元代表が衆院政治倫理審査会に出る意向を固めたそうだ。おととい首相に「出処進退」を言われた。損も得も計った判断だろうが、いかにも遅い▼評論家の大宅壮一に「私が男を評価する基準はただ一つ、潔いかどうかだけだ」の言葉がある。説明を避け続け、結果、政治を足踏みさせた小沢氏は、大宅とはいわず国民の眼鏡にかなうかどうか。暮れの政治風景を眺めつつ、ポケットの「一票」にそっと手をふれてみる。