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【社説】

一票の格差是正 参院の在り方見据えよ

2010年12月28日

 参院で「一票の格差」是正に向けた動きがようやく始まった。投票価値の平等はもちろん、参院とは何か、それにふさわしい議員をどう選ぶのかなど、参院の在り方を見据えた議論を進めるべきだ。

 自らが投じた「一票」の価値がほかの選挙区に住む有権者の一票と比べて著しく低かったら、不平等を感じるに違いない。

 今夏の参院選で鳥取県と神奈川県との一票の格差は五倍。東京高裁は十一月、「違憲」と判断し、今月に入ってからも「違憲状態」との高裁判決が相次いでいる。

 格差五倍前後は、八増八減の定数是正をした一九九四年以降続いてきたが、立法府は小手先の定数配分見直しに終始し、抜本改革を先送りしてきた。その怠慢が司法府から厳しく糾弾された形だ。

 高裁の違憲判決を受け、西岡武夫参院議長が格差を一・一五倍に抑える参院選挙制度改革案を各党に提示した。遅きに失したとはいえ、格差是正に向けた具体的な動きとしては評価したい。

 議長案は、定数を現行の二四二のままで、都道府県単位の選挙区を廃止し、比例代表を全国九ブロックに分割。投票は、政党名と候補者名の得票を合算して各党の獲得議席を決め、各党内で個人名の得票が多い候補者順に当選者を決める非拘束名簿式だ。

 この案は、九ブロックや非拘束名簿式の妥当性、政党に属さない候補の被選挙権を制約する恐れなど、多くの問題点が指摘される。

 とはいえ、ブロック比例代表は、地域性を残しつつ政党・政策本位の選挙を目指すという観点から検討に値するのではないか。各党は議長案を「たたき台」に、二〇一三年の次期参院選での適用に向けて成案づくりを急ぐべきだ。

 その際、参院の在り方論に踏み込んだ議論を展開してほしい。

 参院は「良識の府」「再考の府」と呼ばれてきたが、与党が参院で過半数に達しない「ねじれ状況」では、参院が政権の命運を握る「政局の府」と化してきた。

 これが参院として望ましい姿なのか。そもそも参院議員は誰の代表なのか、二大政党化が進む衆院では反映できない多様な意見をどうくみ上げるのか。

 そうした本質論に踏み込んだ議論を濃密に戦わせれば、望ましい選挙制度がおのずから見えてくるのではないか。自分の党に有利か不利かという党利党略にとらわれていては、参院無用論に拍車がかかるだけであろう。

 

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