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12月27日付 編集手帳

 比叡山の南麓から、送り火で知られる大文字山にかけて、良質な石が分布している。切り出されて二条城の石垣や桂離宮の造営などに使われた。京都の石材の一つ、「白川石」である◆宇治平等院の庭の灯籠の材料になった「太閤石」や「宇治石」なども京都を代表している。これらの石は千年以上にわたり、灯籠や茶道の水鉢などに加工され、独特の風味の京石工芸品として受け継がれた◆国は約30年前に「伝統的工芸品」に指定し、振興策を支援してきたが、白川石や宇治石はもう採石されなくなり、在庫も乏しくなっている。このままでは、職人たちが京都の石で守ってきた伝統のピンチである◆そこで新たに瀬戸内海の「小豆島石」や、神奈川県の真鶴半島一帯で採れる「小松石」を使用することにした。小豆島石は豊臣秀吉が大阪城を築城した時に使われ、小松石が関東の石材として有名になったのは、江戸幕府が開かれた頃という◆京石工芸品の持ち味を変えずに、新たな石材で技法を継承する新時代の到来だろう。約400年後に自分たちの眼力が生きたと、秀吉と家康が胸を張っているかもしれない。

2010年12月27日01時24分  読売新聞)
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