HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Sun, 26 Dec 2010 20:12:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:ちょうど一年前の小欄で、日本人初となる単独・無酸素のエベレ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年12月26日

 ちょうど一年前の小欄で、日本人初となる単独・無酸素のエベレスト登頂に挑む栗城史多(くりきのぶかず)さん(28)を紹介した。今年十月の再挑戦では、積雪や強風に阻まれ、体調も悪化、標高七千七百五十メートル付近で断念した。来年、三度目に挑み、世界の頂からインターネット中継したいという▼「自然に立ち向かってはいけない。登頂という目標に執着することは命取りになる」という栗城さんの言葉が印象に残っている。無念の撤退が二年続いたが、一瞬の迷いが死につながることをあらためて学ばせてもらった▼登山家を例に出すまでもなく、引き返すことは前に進むよりも勇気を必要とすることが多い。組織が大きくなるほど撤退するのが難しいのは、太平洋戦争中の陸軍を見れば明らかだろう▼最高検は厚生労働省の文書偽造事件を検証した報告書を発表した。大阪地検特捜部の特異さばかり強調され、検察組織全体が抱えている構造的な問題は追及不足が甚だしい▼内容は物足りないが、再発防止策の中で「引き返す勇気」を訴えた点が目を引いた。最初に描いた見立てに固執せず、間違いに気付いたときは、公判段階であっても主張を見直そうという提言である▼ただ、末端の検察官が「引き返す勇気」を奮い起こしても組織として受け止められなければ、提言は生かされない。検察幹部はそのことを心に刻んでもらいたい。

 

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