
HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 39769 Content-Type: text/html ETag: "100953-1e2e-8833ff00" Expires: Sat, 25 Dec 2010 03:21:39 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Sat, 25 Dec 2010 03:21:39 GMT Connection: close
![]() 来年度予算案 辻褄合わせはもう限界だ(12月25日付・読売社説)2011年度予算案が24日、閣議決定された。総額92兆4100億円は過去最大である。 かつて恒例だった数字の語呂合わせをすれば、財務省なら「国、良い」とでも言いたいところだろう。だが、借金頼みのお寒い内容を見れば、そんな甘い評価など到底出来まい。 昨年の政権交代以来、民主党政権による予算編成は2度目だ。しかし、菅内閣は財源不足に抜本的な手を打たず、無理なバラマキ政策を継続する意思を示した。 これでは赤字体質も改善しようがない。歳入と歳出の ◆国債発行は依然44兆円◆ 11年度予算案の歳出は、社会保障関係費が28・7兆円と、一般歳出全体の半分を超えたのが目を引く。国債の償還や利払いに充てる国債費は21・5兆円である。 一方の歳入面。税収は10年度当初より3兆円以上増えて40・9兆円と、40兆円台を回復する。 だが、税外収入は、埋蔵金を必死にかき集めても7・2兆円にとどまる。結局、歳入の不足分は、当初予算として最も多かった10年度とほぼ同じ、44・3兆円もの国債を出して賄う。 国債発行額が税収を超えるのは2年連続だ。歳入の国債依存度は48%にのぼる。この異常な事態を政府はどう捉えているのか。 野田財務相は「国債発行の上限を44兆円とする目標は守られた」と強調する。確かにこの目標は、政府が今年6月にまとめた財政運営戦略に盛り込まれている。 だが、過去最大の発行額を上限とすること自体がナンセンスだ。削減を目指すのが筋だろう。 財政運営戦略には、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度までに黒字化するという目標もある。 これを財政再建の最終着地点とするなら、まず11年度予算で大きく改善の一歩を踏み出さねばならないが、最初からつまずいた。 ◆消費税から逃げたツケ◆ それも、菅内閣が消費税率の引き上げを先送りしたツケといえよう。菅首相は、6月の就任に当たり、消費税率引き上げの必要性を訴え、夏の参院選では税率10%に言及した。 首相になる直前まで、財務相として国際会議などに出席し、財政再建の必要性に目覚めたからだろう。これは国の指導者として、当然の姿勢である。 だが、発言に唐突感があったことなどで野党から批判され、民主党内からも「選挙対策上、マイナス」との反発を受けると、一気にトーンダウンした。参院選敗北後は、ほとんど触れなくなった。極めて遺憾である。 予算編成の迷走に輪をかけたのが、民主党の政権公約(マニフェスト)へのこだわりだ。子ども手当の増額がその象徴といえる。 子ども手当は現在、月1万3000円支給されている。政権公約では月2万6000円としているため、政府は満額に近づけようと、3歳未満を対象に月7000円増額する。必要な財源は来年度2100億円に上る。 このほか、高速道路無料化や農家の戸別所得補償など、公約関連項目は、予算を上積みしている。財源がないというのに、理解しがたい対応である。 政府は、これら増額分の財源確保などのため、高所得層への増税を決めた。これは問題だ。 日本経済を支え、消費意欲も高い高所得層をねらい撃ちすれば、人材の海外流出などを招いて、逆効果になりかねない。こうした増税は撤回すべきである。 一方、予算編成と同時に進められた社会保障改革では、高齢者医療や介護保険で、負担増を伴う改正が、軒並み退けられる見通しとなっている。 来春の統一地方選を前に、有権者の反発を恐れて民主党の腰が引けてしまった。政権党として情けない限りだ。 ◆マニフェスト見直しを◆ 11年度予算案の決定で、国と地方の長期債務は11年度末で891兆円と、国内総生産(GDP)の1・84倍に及ぶ見通しになった。財政破綻したギリシャなどよりはるかに悪い数値である。 破綻を回避するには税収の確保が肝要だが、それには消費税率引き上げしか手がないのは、はっきりしている。社会保障財源の手当てでも頼りは消費税だ。 民主党は政権公約で、税の無駄遣いを正せば、巨額な財源が捻出できるとしていた。それが画餅だったことは明白である。 菅内閣は来年こそ、消費税率の引き上げを決断すべきだ。政権公約の誤りも正直に認め、大胆に見直す必要がある。 この二つの懸案をクリアしなければ、いずれ財政は破綻し、国を誤ることになろう。 (2010年12月25日01時32分 読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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