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12月24日付 よみうり寸評

 年賀状を書きつつ今年逝った何人かの友、先輩、恩師を思う。今年の賀状を読み返し、新しい年には、もうこの筆跡にお目にかかれないのだと思うと胸が詰まる◆その一人、H君は3月に逝った。私の手帳には15日死去、19日通夜とあるが、同じ3月の3日にH君来とある。死のわずか12日前に私を訪ねてくれていた◆元気に帰って行ったから、通夜の席でも彼の急逝が信じられないほどだった。入社は1年後輩だが、同じ年に社会部でサツ(警察)回りを始めた仲間。最後の別れも忘れられない◆H君は最後に私を訪ねてくれた日に土産を持ってきた。昔の少年雑誌の復刻版で、昭和20〜30年代の「野球少年」の何冊かだった◆サンフランシスコ・シールズ来日、志村正順アナの誌上放送、ゴールデンボーイ・長嶋選手……が載っている。昔の野球少年としては涙が出るほど懐かしい宝物だ◆死後に死者の持ち物を親族や友人に分けるのが形見分けだが、H君はあの日、私に〈生前の形見分け〉をしてくれたのだと思っている。

2010年12月24日13時59分  読売新聞)
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