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Astandなら過去の朝日新聞天声人語が最大3か月分ご覧になれます。(詳しくはこちら)
いつもと違う朝を迎えたカップルもおられよう。週末にクリスマスが重なったお陰で、ホテルの有名どころはホクホクらしい。東京の帝国ホテルは昨日も今日もいっぱい、両日の満室は5年ぶりという▼JTBによると、年末年始に海外に出かける人は昨年より3%ほど多い58万人。こちらも、前年を上回るのは4年ぶりだ。円高や羽田空港の国際化が効いて、中国を除くほとんどの地域で増えている▼政治が荒れても、経済はそれなりに回る。だが、年金や税金の見通しが立たねば、消費者は安心してお金を使えず、企業は腰を据えて国内投資や採用に踏み切れない。まずは国が将来図を示さないと、景気の本格回復は望めまい▼政府の来年度予算案は、一般会計で過去最大の92兆4千億円あまり。税収が少しばかり増えても、それ以上の国債が新たに発行される。まっさらの民主党予算は初めてなのに、削りは甘く、出は緩く、自民党時代に輪をかけた借金体質である▼これでは早晩、国債暴落か、いきなりの大増税だろう。明日が読めないと人は守りに入る。節約疲れの「プチぜいたく」もあるが、基本は外出を控える「巣ごもり消費」とか。聖夜は家族と過ごした人が多かろう。〈硝子(ガラス)戸に小(ち)さき手の跡クリスマス〉大倉恵子▼オリックスが募った「マネー川柳」に、〈妻の愚痴減って感じる真の底〉があった。削られる給料があるうちはいい、ということか。父が黙り、母が黙した家では「小さき手」も無口になる。団欒(だんらん)を陰から応援するのは、サンタだけの仕事じゃない。