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2010回顧・日本 政権への失望深まった1年(12月24日付・読売社説)

 事件発生とその後の展開に大きな衝撃を受け、政府の対応にも強い不満を抱いた読者が多かったということだろう。

 本紙の読者が選ぶ「日本10大ニュース」の1位は、「尖閣諸島沖で中国漁船が海保巡視船と衝突、海上保安官が撮影ビデオを流出」だった。

 中国漁船船長の釈放を求め、レアアース輸出規制など次々と圧力をかける中国政府に対し、日本政府は有効な手を打てず、ビデオの一般公開にも応じなかった。

 保安官によるネット上へのビデオ流出で、海上保安庁の情報管理のずさんさが露呈した。海保幹部らの大量処分にもつながった。

 菅内閣の支持率が報道各社の世論調査で急降下したのは、衝突事件への対応やビデオの取り扱いを巡る不手際に、国民の不満が募ったことが大きな要因である。

 「鳩山首相退陣、後継に菅副総理」が5位、「参院選で民主大敗」が7位に入った。歴史的な政権交代を実現した民主党政権への期待が、失望へと変わっていったことの表れだろう。

 民主党の小沢一郎元代表の政治団体を巡る事件など、「政治とカネ」の問題も背景にある。

 国民の信頼を失ったのは、政治の世界だけではなかった。

 9位に入った「郵便不正事件の押収証拠改ざんで大阪地検特捜検事を逮捕」は、刑事司法の根幹を揺るがす、前代未聞の不祥事だった。検察が再生するには、捜査や組織の抜本的な見直しを図ることが急務である。

 8位の「野球賭博関与で琴光喜ら解雇」は、相撲界と暴力団との根深い癒着を浮き彫りにした。日本相撲協会は暴力団等排除宣言で改革をアピールしたが、その真価が問われるのはこれからだ。

 「宮崎で口蹄疫(こうていえき)発生」(3位)、「113年間で最も暑い夏」(4位)といった、生活に密接に関連したニュースが関心を集めた1年でもあった。

 一方、科学の分野における明るい話題が人々を勇気づけた。

 2位に「ノーベル化学賞に根岸氏、鈴木氏」、6位に「小惑星探査機はやぶさ帰還」が入った。

 日本人の化学賞受賞はこれで7人になり、水準の高さを世界に示した。はやぶさは再三の故障を乗り越え、7年にわたる宇宙の旅の末、小惑星の微粒子を持ち帰ることに成功した。多くの人が拍手を送ったに違いない。

 来年は、人々に希望を与えてくれるニュースが一つでも多く上位に並ぶ年になってほしい。

2010年12月24日01時09分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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