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12月24日付 編集手帳

 大きな(さかずき)のことを、昔の人は「武蔵野」と呼んだらしい。そのいわれを、上方落語『ためし酒』のなかで登場人物が説明している。〈東京のほうの武蔵野という野原は広い野原じゃ、見尽くせん、野、見尽くせん(飲み尽くせん)〉◆飲み尽くせない「武蔵野」の分量は人により、体調により、異なる。分かっていてもつい度を越してしまうのが、忘年会シーズンの終盤から仕事納めの納会になだれ込むこの季節だろう◆勤め人には拭えぬ不況風、大学生には超氷河期の就職難…と、この年の瀬は例年以上に、「武蔵野」の計量機能を狂わせる憂いの種に事欠かない◆酒でとんだ災難に遭った人の話でテレビのワイドショーは持ち切りだが、〈酒のない国へ行きたい二日酔い また三日目には帰りたくなる〉いけるクチの方々も、くれぐれもご用心あれ◆きょうは夜の街がことに(にぎ)わい、街はいつでも 後ろ姿の幸せばかり…『ウナ・セラ・ディ東京』(作詞・岩谷時子、作曲・宮川泰)の一節がいつにまして似合う日である。道端にしゃがみ込んで背中をさすられている不幸な後ろ姿には、あまり出会いたくない。

2010年12月24日01時09分  読売新聞)
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