HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37610 Content-Type: text/html ETag: "104564-1690-ef3342c0" Expires: Wed, 22 Dec 2010 02:21:30 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 22 Dec 2010 02:21:30 GMT Connection: close 一括交付金 地方の覚悟と能力が試される : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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一括交付金 地方の覚悟と能力が試される(12月22日付・読売社説)

 国からの補助金の使途が自由になる分、地方自治体は自らの責任も重くなると自覚すべきだ。

 政府の地域主権戦略会議が、2011年度から国が使途を特定する地方向けのひも付き補助金1兆円強を、使途を限定しない一括交付金に段階的に改めることを決めた。

 11年度は都道府県向けに約5000億円を一括交付金化する。12年度は対象を市町村にも広げ、総額も2倍程度に増やす予定だ。

 自治体が国の補助金制度を活用すれば、自前で道路や学校校舎、社会福祉施設などを整備する場合の4分の1〜3程度の財政負担で済む。反面、国の詳細な基準に合致した事業にするため、国の指導、認可を受ける必要がある。

 一括交付金化すれば、自治体が地域の実情に合わせて、事業を自由に選択し、実施できる。国の指導、認可を受けるために要する人手と時間も不要となる。この基本的な方向性は悪くない。

 ただし、自治体は、首長の人気取りの箱もの作りなど不要不急な事業に交付金をつぎ込むことは許されない。事業に失敗した場合の責任も自らが負うことになる。

 自治体は交付金の使途を吟味し、議会も厳しく監視する姿勢が求められる。自治体の覚悟と能力が試されると言っていい。

 権限を失うことになる各府省は補助金の一括交付金化に抵抗し、事業選定などに事前関与の余地を残そうとしている。

 各府省の関与が残れば、補助金の名称が変わるだけで、自治体の自由度は高まらない。各府省の関与は極力排することが重要だ。ただ、自治体の交付金の使途に問題がなかったかどうかを事後点検する仕組みは必要だろう。

 一括交付金化は、地方分権のもう一つの柱である国の出先機関の見直しとも関連する。

 補助金の交付や審査を担当している国や出先機関の部署は、大幅に事務量が減少する。余剰になる職員は、自治体に移したり、別の部署に異動させたりして、人材の有効活用を図ることが大切だ。

 出先機関が所管する国道の整備・管理や1級河川の保全事務は、都道府県の広域連合などに移管することになった。今月発足した2府5県の「関西広域連合」が一つの受け皿の候補となる。九州や関東でも同様の動きがある。

 関西広域連合が国道や河川の整備・保全をきちんとやり遂げることが、国全体に分権を進めることにつながる。ここでも、地方の能力が試されよう。

2010年12月22日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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