HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37948 Content-Type: text/html ETag: "ade0d-17c3-ef3342c0" Expires: Wed, 22 Dec 2010 03:21:39 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 22 Dec 2010 03:21:39 GMT Connection: close 韓国砲撃訓練 「北」の出方に警戒を緩めるな : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

韓国砲撃訓練 「北」の出方に警戒を緩めるな(12月22日付・読売社説)

 韓国軍が、北朝鮮に近い黄海に浮かぶ延坪(ヨンピョン)()で砲撃訓練を実施した。懸念された北朝鮮による報復攻撃がなかったため、一触即発の危機はひとまず去ったように見える。

 しかし、北朝鮮が武力挑発をやめるという保証はない。朝鮮半島情勢は依然、不透明だ。日本はじめ国際社会は、今後の北朝鮮の出方に警戒を緩めてはならない。

 約1か月前、延坪島では、北朝鮮軍の砲撃によって民間人を含め4人が亡くなった。韓国が北朝鮮領海内に砲撃したことへの反撃、というのが北朝鮮の言い分だ。付近の海域は、境界線をめぐる合意がなく、衝突が頻発している。

 今回実施されたのは、当時、韓国が中断を余儀なくされた砲撃訓練の続きである。北朝鮮軍の最高司令部は、「いちいち対応する価値も感じなかった」と、反撃しなかった理由を説明している。

 領海への着弾はなかったということなのか、攻撃されれば空爆も辞さないという韓国の強硬姿勢に影響されたためだったのか。

 いずれにしても、武力挑発に出るかと思えば、脅迫したり肩すかしをくわせたり、攪乱(かくらん)するような北朝鮮の狙いについて、冷静に分析しなければならない。

 自ら緊張を高めた後、手のひらを返すように対話攻勢に出るのは北朝鮮の常套(じょうとう)戦術だ。

 砲撃訓練の最中、北朝鮮は、訪朝したリチャードソン米ニューメキシコ州知事と、緊張緩和に通じる措置に合意したという。

 知事によると、ウラン濃縮施設への査察官受け入れ、プルトニウム型核爆弾の製造につながる未使用核燃料棒の売却交渉開始、黄海での軍事衝突防止のための信頼醸成措置の3点だ。

 実現するのであれば、日米韓3か国が、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の再開に必要だとする「具体的な行動」にはなる。

 だが過去にも北朝鮮は、合意を履行せず、反古(ほご)にしてきた経緯がある。合意の中身をよく吟味し、真意を見極める必要があろう。

 砲撃事件で緊張が高まる半島情勢をめぐり、国連安全保障理事会は、声明を出そうとして結局挫折した。日米などが求めた北朝鮮の韓国砲撃を非難する文言の盛り込みに、中国が反対したためだ。

 これでは、6か国協議を再開しても、進展は期待できまい。

 日米韓は、北朝鮮への対処について、対話と抑止の両面で連携を一層強化すべきである。有事に備え、日米防衛協力指針を見直すことも重要な課題だ。

2010年12月22日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です