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アフガン情勢 米軍撤収は慎重に行うべきだ(12月21日付・読売社説)

 アフガニスタンでの軍事作戦の収拾に向け、オバマ米大統領が昨年末に打ち出した新戦略は、アフガン安定化でどこまで効果をあげたのか。

 大統領は、駐留米軍の3万人増派を柱とする新戦略の1年間の検証結果を発表した。

 発表によると、新戦略は「顕著な成果」をもたらし、来年7月に予定する米軍撤収開始の「条件は整いつつある」と強調している。南部の都市カンダハルやヘルマンド州で、旧支配勢力タリバンの影響力は著しく弱まった。

 大統領は記者会見で、2014年までには撤収を完了し、アフガン政府に治安権限を全面移譲するという方針を改めて確認した。長引く戦争に米国民が疲れてきていることを受けての発言だろう。

 しかし、アフガン全体の情勢は安定とはほど遠い。検証結果でも、作戦上の成果は「脆弱(ぜいじゃく)で逆転されうる」と指摘している。

 米軍の死者数は今年、400人を超え、開戦以来最悪となった。タリバンは、あまり活動していなかった北部で、アフガン政府の治安部隊に攻撃を加えるなど新たな動きを見せている。

 このような状況下での撤収は、戦況を見極めながら慎重に判断すべきだろう。

 新戦略が最重要課題とする、国際テロ組織アル・カーイダの「粉砕」は、アフガン国内の軍事作戦だけで達成はできない。

 ウサマ・ビンラーディンら最高幹部の多くは、隣国パキスタンとの国境付近に潜伏しているとされる。だが、パキスタン国内でのアル・カーイダ掃討作戦ははかばかしい成果を上げていない。

 パキスタン軍部が、アフガンの反政府勢力と通じているためだとの見方もある。米国はパキスタン政府にテロ掃討を徹底するよう、より強く促す必要がある。

 アフガン安定化の前進を阻むもう一つの要素はカルザイ政権の統治能力の乏しさだ。アフガン政府の治安部隊は、数こそ充足したが、質が伴っていない。カルザイ政権には腐敗のうわさが絶えない。

 これでは、日本はじめ各国からの巨額の民生支援も有効に生かされるはずがない。

 カルザイ大統領に苦言を呈してきた米政府特別代表リチャード・ホルブルック氏の急死もオバマ政権には大きな痛手だろう。

 米政府は来年初頭、ワシントンで、アフガン、パキスタン両国の外相との協議を開く。アフガン安定化のための実効性ある方策を練り直すべきだ。

2010年12月21日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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