HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Tue, 21 Dec 2010 02:12:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:行政委員の報酬 これまでが異常だった:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

行政委員の報酬 これまでが異常だった

2010年12月21日

 選管など地方自治体の行政委員(非常勤)の報酬を、月額から日額に見直す動きが増えている。行財政改革を追求する時代の流れから、当然だ。これまでが異常だったと認識しなければならない。

 月二、三回の会議出席で約二十万円。これが月額報酬の相場らしい。こんな実態を、不況と雇用難にあえぐ住民感情が許すはずはない。ましてや自治体財政も火の車なのに。苦労なく委員を確保してきた行政の怠慢といえる。もはや悪弊でしかない。

 二〇〇九年一月、大津地裁の判決が大きな一石を投じた。滋賀県の選管、労働、収用三委員の報酬を条例で月額二十二万〜十九万円と定めているのは地方自治法に反するとして、県に支出差し止めを命じた。大阪高裁も一審をほぼ支持した。知事は上告している。

 地方自治法は非常勤委員の報酬を「勤務日数に応じて支給する」と定める。一方で「条例で特別に定めたときはこの限りでない」と月額も認めている。国は法律で基本的に日額と決めている。

 自治体の行政委員は、首長が推薦し議会の同意を得て選任される。公正中立な利害調整や判断が求められるため、独立して合議制で運営される。ただ大半は非常勤で市民の目は届きにくく、弁護士の原告が例えたように「ノン・ワーキング・リッチ」の存在が明らかになった。選管委員が議員OBの“指定席”になっている自治体も少なくなく、ポストの既得権化に懸念も拭えない。

 地裁判決当時、福井、富山、長野、山梨四県の収用委員を除くと、全都道府県が月額報酬制を採っていた。地域事情を考慮した条文のただし書きなのに「みんなで渡れば…」かと疑いたくもなる。

 各地で同様の訴訟が相次いだ。月額報酬条例の制定は「議会の裁量権の範囲を逸脱していない」(今年七月、名古屋地裁)と原告が敗訴した例もある。

 司法判断が分かれる中、神奈川県が一部例外を除き、静岡県はすべての行政委員を、それぞれ本年度から日額(四万円前後)に改めた。神奈川は約三割分の五千五百万円、静岡は半分の六千万円弱が節減されるという。素早い対応は評価したい。

 全国知事会によると、日額と月額の併用が増えてきているが、最高裁の判断を待つところがまだ過半数という。自治体の財源捻出に聖域はないし、住民の目はますます厳しくなっている。そういう自覚が分権時代には必要だ。

 

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