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12月16日付 よみうり寸評

 〈われ幻の魚を見たり〉――ヒメマスを十和田湖に移殖した和井内貞行の物語はかつて教科書にも、映画にもなって知る人も多い◆ヒメマスに似た陸封魚だが「絶滅種」で秋田県田沢湖原産のクニマスが山梨県の西湖で見つかった。と聞いて〈われ幻の魚を…〉の物語を思い出した◆ヒメマスの日本での原産地は北海道の阿寒湖など。アイヌ語でカパチェッポ。明治時代に支笏湖などを経て日本各地に移殖された。中でも和井内貞行は不屈の努力で成功、初期の孵化(ふか)、育成が困難だったため〈幻の魚〉の名を残した◆が、幻の度合いなら、今回のクニマスが上だろう。何しろ最後の生息確認から62年。環境省のレッドリストで絶滅種に指定された魚の再発見は初めてだ◆原産地田沢湖では1940年ごろ、発電などのための導水工事で酸性水が入り、クニマスは死滅した。その5年前に卵が西湖に移送された記録がある◆クニマスは遠く西湖に種を残していた。その末裔(まつえい)の発見だ。長く絶滅と思われていた幻の種の復活を喜ぶ。

2010年12月16日13時58分  読売新聞)
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