HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36691 Content-Type: text/html ETag: "fb351-13cc-574fbd80" Expires: Fri, 17 Dec 2010 02:21:13 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 17 Dec 2010 02:21:13 GMT Connection: close 12月17日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

12月17日付 編集手帳

 独断専行で暴走しがちな同僚を諭して、麻薬捜査官が言う。「われわれはチームだぞ。チーム(TEAM)にI(私)の字はない」。同僚は内心つぶやく。「勝利(WIN)には私(I)が入っているよ」◆ドン・ウィンズロウの小説『犬の力』(角川文庫)のひとこまにある。どういう組織であれ、I(私)の功名心を抜きにして活力は生まれない。Iの暴走は、しかし、ときにチームを崩壊の危機に追いやることもある◆大阪地検特捜部による証拠改竄(かいざん)・犯人隠避事件の責任を取り、大林宏検事総長が辞任する意向を固めたという◆被疑者の口を割らせる“割り屋”として令名の(とどろ)いた特捜検事を証拠改竄に走らせたのは、(ゆが)んだ功名心と、俺たちは万能だという(おご)りであったろう。検察の信頼が地に()ちて喜ぶのが犯罪者であることを思えば、トップの辞任に同情の余地はない◆泣く子も黙る最強チームで、ボスの首が飛ぶ。その衝撃を所属する一人ひとりがどう受け止めるか。傲り(HAUGHTINESS)から()(らち)なI(私)を取り除き、その単語を検察庁の辞書から放逐しない限り、何も変わらない。

2010年12月17日01時13分  読売新聞)
現在位置は
です