HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Thu, 16 Dec 2010 23:10:24 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:<万物は流転す>とは、ヘラクレイトスの言葉だ。ギリシャ語だ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年12月17日

 <万物は流転す>とは、ヘラクレイトスの言葉だ。ギリシャ語だと「パンタ・レイ」▼この古代ギリシャの哲学者も川を例に挙げたらしいが、わが国にも、例えば古今集に<世の中は何か常なる飛鳥川きのうの淵(ふち)ぞ今日は瀬になる>などと。確かに、あらゆるものは、移り変わる▼ところで、ものの本によれば、パンタ・レイは当時、流行語のようになり、その時代の喜劇にはこんな話があったとか。金を借りた男が「借りた私と今の私は変わっている。パンタ・レイ」といって返そうとせず、貸した男が怒って殴り、裁判になるが、彼もまた「殴った私は、今の私ではない。パンタ・レイ」▼さて、菅首相が諫早湾干拓の排水門開門を命じた福岡高裁判決について、上告断念を決めた。建設当時、「ギロチン」とも呼ばれたあの門がついに開くことになる。現地の営農者は激怒しているが、漁業者らを中心に「英断」とする声も強い▼政権浮揚狙いだとの見方もあるが、そもそも民主党政権に対する失望の核心は、野党時代に散々、約束しておきながら、政権交代後、ちっとも実行しないことが多すぎる点にある。今回の決断は、いわば“パンタ・レイ政権”が筋を通した数少ない例だとはいえよう▼野党だった私たちは、今の私たちではない−。そんな言い訳を重ねる“喜劇”は、これを機に、どうか幕にしてもらいたい。

 

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