HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37863 Content-Type: text/html ETag: "10400d-16a4-8be74540" Expires: Wed, 15 Dec 2010 20:21:44 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 15 Dec 2010 20:21:44 GMT Connection: close 日銀短観悪化 企業心理の冷え込みが心配だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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日銀短観悪化 企業心理の冷え込みが心配だ(12月16日付・読売社説)

 景気の不透明感が増して、企業の心理が冷え込んできたようだ。

 日銀が15日に発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景気認識を示す業況判断指数は、大企業の製造業と非製造業がそろって悪化した。

 7四半期ぶりのことだが、来年3月の短観はさらに悪化し、製造業も非製造業も、指数の水準がマイナスに逆戻りする見通しだ。

 企業が弱気になると設備投資や雇用が減り、経済は一段と減速する。こうした悪循環によって景気が腰折れしないよう、政府・日銀は経済成長を最優先した政策を、粘り強く続ける必要がある。

 短観が悪化したのは、エコカー補助金やエコポイントなど、消費拡大政策の終了や縮小に伴い、需要が減少した影響が大きい。

 政策の恩恵が薄れた自動車と電機の両業界は、円高や海外経済の減速による輸出の低迷も重なり、景況感が急激に落ち込んだ。

 特に自動車は、次の3月短観も大幅な悪化が予想される。自動車産業は部品などを含め裾野が広い。不振が続けば、幅広い業種に悪影響が波及しかねない。

 短観の対象企業の業績は、今年度の通期で大幅な増益が見込まれる。ところが、下半期に限ると、前回調査の増益予想から、今回は減益予想に変わった。

 下半期の想定為替レートが、1ドル=89円台から83円台へと大きく円高に振れたことも、業績回復がペースダウンした要因だろう。

 円の急騰は一服したが、まだかなりの円高水準である。政府・日銀は、行き過ぎた円高を断固阻止する姿勢を維持すべきだ。

 一方、日本企業の国際競争力を高める取り組みも重要だ。

 研究開発への支援など、日本が得意とする環境やエネルギーをはじめとした成長分野で、技術革新を促す政策は有効だろう。

 政府が法人税実効税率の5%の引き下げを決めたのは歓迎できるが、まだ主要国の平均より高い。さらなる軽減を目指すべきだ。

 むろん、企業自らの創意工夫で活力を高める努力も欠かせない。日本経団連はこのほど、環境や情報通信など先進技術が集積する都市作りを柱とした、民間版成長戦略をまとめた。実現へ課題は多いが、成果を期待したい。

 多額の余裕資金を持つ会社も少なくない。経営者は、新規の事業や投資に臆病に過ぎないか、省みてほしい。企業家の健全なチャレンジ精神が、成長と雇用拡大への扉を開くカギである。

2010年12月16日01時36分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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