HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 36404 Content-Type: text/html ETag: "fe1a3-124b-8be74540" Expires: Wed, 15 Dec 2010 22:21:47 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 15 Dec 2010 22:21:47 GMT Connection: close 12月16日付 編集手帳 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です

12月16日付 編集手帳

 鏡に映る像は、左右が逆でも、上下は逆にならない。科学オンチを暴露するようで疑問を口にしたことはなかったが、いつぞや物理学者、朝永振一郎氏の文章を読んで安心した覚えがある◆随筆集『鳥獣戯画』(みすず書房)によれば、博士が理化学研究所にお勤めの頃、鏡の左右上下が職場の話題になり、〈ひるめしのあと、研究室の連中が甲論乙バクいろいろ珍説明が出た〉という。鏡とは科学者にとっても不思議な物であるらしい◆“内閣カー”を運転する「仮免許」を卒業し、めでたく「本免許」を取得したという菅首相は、もしかすると、鏡に映った道路に車を走らせているのかも知れない◆尖閣事件をめぐる中国人船長の釈放や映像流出など、政治の出る幕には官僚の陰に隠れている。そうかと思うと、官僚に開門の影響を十分に検討させるべき国営諫早湾干拓事業(長崎県)のような、まだ出る幕でない場面で政治が出てくる。右かと思えば左、左かと思えば右、見ていて危なっかしくてならない◆国民の目に映る菅内閣の像が、いずれスッテンコロリン、上下まで逆になってしまわないか心配である。

2010年12月16日01時36分  読売新聞)
現在位置は
です