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12月15日付 編集手帳

 4歳になる坊やは父親と遊んでいるとき、言ったという。「それじゃお父さん、そろそろお手紙拝見と行きましょうか」。放送作家の高田文夫さんが、知人から聞いたという話を著書『あんときゃ笑った』(太田出版)に書いている◆父親は「お手紙拝見」に一瞬、ポカンとしたらしい。「お手紙」ではなくて「お手並み」である。大人同士の会話を聞いていて、間違えて覚えたのだろう◆毎年、この季節になると、「お手紙拝見」の一語が頭をちらりとかすめる。今年もきょうから、全国の郵便局で年賀状の受け付けがはじまる◆いつも敬服するのだが、傍目(はため)にも多忙を極めているお方に限って、通り一遍ではない心のこもった手書きの賀状をくださる。おそらくは仕事もてきぱきと、それでいて神経の行き届いた手際なのだろう。仕事の「お手並み」は「お手紙」で知れる――大みそかに年賀はがきと格闘するのが習いの怠け者としては、あまり心の弾む格言ではない◆どこかにいるだろうお仲間に、一句を。〈年の瀬を(せわ)しといひつ遊ぶなり〉(星野立子)。筆無精にはこの季節、“守り神”のような句である。

2010年12月15日01時21分  読売新聞)
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