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12月11日付 よみうり寸評

 「鯨海酔侯(げいかいすいこう)」。幕末の土佐の大名、山内容堂は自らをそう号した。司馬遼太郎さんの小説「酔って候」に出てくる◆〈土佐の海は鯨が泳いでいる。だから鯨海。つねにその鯨が酔っている。ゆえに酔侯〉。相当の酒量だったのだろう。維新前夜、酔ったまま、御所内で岩倉具視らと激論を交わしたとも伝えられる◆今の世で、一杯引っかけてから会社の重要な会議に臨む人はいまい。ただ、年末年始の時期、仕事の延長ともいえる忘年会や新年会で杯を重ねる機会は増える◆国土交通省によると、ホームで起きた電車との接触による死傷事故は、今年9月までの半年間で117件。過去最悪のペースで、6割は酔客だった◆昨年度の駅員や乗務員に対する客の暴力は869件。こちらは日本民営鉄道協会などのまとめだが、やはり6割を酔客が占めた◆酒に強いと自信がある人も自ら注意するに越したことはない。鯨海酔侯こと容堂が死んだのは明治5年。〈多年の飲酒による脳溢血(のういっけつ)であった〉と司馬さんは小説を結んでいる。

2010年12月11日13時42分  読売新聞)
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