HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 10 Dec 2010 22:10:20 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:職場いじめ 一人で抱え込まないで:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

職場いじめ 一人で抱え込まないで

2010年12月10日

 職場でのいじめが増えている。限られた場所での現象にせよだ。こうしたいじめのため退職したり、うつ病になる例も多く、事態は深刻だ。十日は世界人権デー。一人で抱え込まず相談してほしい。

 「業務の提言をしたら、上から裏切り者って、ののしられたんです。あとは暴言の連続」。岐阜県内の三十代の男性のショックは計り知れなかった。心療内科に通った。けれど、心の傷は癒えず、勤め先を辞めるしかなかった。

 にわかには信じ難いこうした事例は、山のようにある。営業の業績が上がらずに上司から「車にはねられて金をつくってこい」と言われた人、同僚からのつるし上げが続き上役に泣きついたら逆に退職勧奨された人、残業代を請求すると「クズが一人前に権利を主張するな」と脅された人…。

 厚生労働省が統計をまとめている。その一つ、労働基準監督署などの労働相談コーナーなどに寄せられる個別労働紛争相談の内訳によると、職場の「いじめ・嫌がらせ」は、二〇〇二年度で全体の5・8%だったのが、〇九年度には12・7%まで増えた。民間への相談件数も増加傾向にある。

 事例の多くは「大人げない嫌がらせや暴言、強要」(精神科医)だという。だが、あまりに度重なると、退職したり、うつ病などになったりもする。自殺してしまう人もいる。いじめや嫌がらせは、いつの時代も、どこにでもある。先ごろ群馬県桐生市で自殺した少女の痛ましい事件を顧みるまでもなく、子どもたちの社会にも。

 「職場いじめ」は、欧州でも注目されている。知られるのはセクハラ、パワハラ。加えて、ささいなことに目をつけ、言葉や態度で行う精神的虐待を、フランスの精神科医が新たにモラルハラスメントと呼んだ。日本に顕著なのは、経済の長期低迷の反動とみられる成果主義の暴走だという。利益第一を追いすぎて職場がゆとりを失い、すさんできたという見方だ。

 背景はどうであれ、被害を受けている側は心の傷を解きほぐす糸口がほしい。「一人で抱え込まずに」と精神科医や支援者らは言う。法務局や労基署には常設の相談窓口がある。労働組合、NPOなども対象になる。電話や手紙でも可能だ。心理カウンセリングを置く企業も増えてきた。

 どこへでもいいから勇気を出して相談をしてほしい。外に知らせることが、事態を変えていく力になるはずだ。

 

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