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武器輸出3原則 将来に禍根残す緩和見送り(12月10日付・読売社説)

 基本政策が異なる政党と連立政権を組んだ致命的な失敗の教訓を、もう忘れてしまったのか。

 政府は、来週決定する「防衛計画の大綱」に武器輸出3原則の緩和を明記しない方針を決めた。菅首相が国会運営での協力を求めた野党・社民党が、3原則緩和に反対していることに配慮したものだ。

 政府は、平和構築やテロ・海賊対策などが目的の武器輸出を解禁する方向で調整していた。欧州や韓国、豪州などとの武器の共同開発も、日米両国との防衛協力や適切な輸出管理が実施されている観点から、認める見通しだった。

 こうした政策は、「平和国家」の理念と十分両立する。本来は妥当な見直しである。

 他国の平和構築やテロ・海賊対策を支援するための武器輸出は、世界の平和と安定に寄与する。最新鋭戦闘機などの共同開発への参加は、国内の防衛技術・生産基盤の維持に欠かせない。

 関係閣僚や民主党幹部も同じ認識だったが、政策よりも政権運営を優先する政治判断から、3原則緩和を見送ってしまった。

 衆参ねじれ国会で重要法案を成立させるには、国民新党に加え社民党の協力を得て、衆院の3分の2以上の賛成による再可決を可能にする必要があるとの判断だ。

 だが、外交・安保政策で相いれない社民党との連携は、菅政権の政策遂行に大きな足かせとなる。将来に禍根を残すのは確実だ。

 社民党は米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対し、連立政権を離脱した。今も同じ立場だ。首相は、社民党との連携と、来春の訪米と日米共同声明による同盟深化をどう両立させるつもりなのか。

 社民党の福島党首は、3原則を緩和すれば日本が「死の商人」になるかのような主張までしている。感情的な暴論と言うほかない。

 日本の安全保障環境は厳しさを増している。北朝鮮による核・ミサイルの脅威や、韓国への砲撃などの軍事的挑発、中国の軍備増強と海洋権益・領土拡張への強引な手法を直視せねばなるまい。

 限られた防衛予算の中、日本の安保政策と自衛隊の体制をより実効性あるものに見直すことが急務で、3原則緩和はその柱だ。

 民主党政権と社民党の協力関係は、政策面の矛盾によって遠からず破綻が避けられないだろう。

 その事態を視野に入れて、新防衛大綱では、3原則緩和の明記は見送っても、現行の3原則の問題点を列挙し、緩和の余地を残しておくことが最低限必要である。

2010年12月10日01時45分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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