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12月10日付 編集手帳

 映画にもなった田村泰次郎の小説『肉体の門』が評判を呼んだとき、紛らわしい芝居が上演されたという。その名も『肉体の(かんぬき)』――門構えの中にある横棒は見えないほど細く書いてあったというから、ご愛嬌(あいきょう)である◆喜劇の“エノケン”こと榎本健一が一世を風靡(ふうび)すれば「エノケソ来たる」の看板で客足を誘う興行師が現れたり、美空ひばりならぬ「美空びばり」の歌謡ショーがあったり…と、世にニセモノの種は尽きまじ、だろう◆こちらは本家ノーベル平和賞にあやかったわけではなく、むしろ敵愾心(てきがいしん)を燃やしての登場らしい。ニセモノ扱いは心外だろうが、やはり、どこかうさんくさい◆中国で「孔子平和賞」が創設されたという。獄中の民主活動家・劉暁波(りゅうぎょうは)氏にノーベル平和賞が授与されることへの対抗措置との見方もある。言論や表現の自由がない「平和」というのが理解しがたい。物を告げる口、物を書く指は、常に開かれてあるべき『精神の門』である。『精神の閂』を上演中の国に、平和賞を創設する資格はあるまい◆妙な芝居に担ぎ出された聖賢には差しあたり、お気の毒さまと申し上げておく。

2010年12月10日01時45分  読売新聞)
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