HTTP/1.1 200 OK Date: Fri, 10 Dec 2010 02:12:06 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:夏には、さんざん呪詛(じゅそ)の言葉を吐いておいて何だが、…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年12月10日

 夏には、さんざん呪詛(じゅそ)の言葉を吐いておいて何だが、このごろは、本当に、お日様のありがたさが身に染みる▼ことに屋外にいる時。雲が太陽を隠して体が冷えきった後、戻ってきてくれた陽光のぬくもりといったら。確かに西諺(せいげん)に言うとおりかもしれない。<雲がなければ太陽のありがたさは分からない>▼この諺(ことわざ)には「困難があってこそ成功の喜びもある」といった意もあるらしい。今は、宇宙航空研究開発機構の関係者に贈るとしよう。探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入に失敗し、深い落胆の中にあろうから▼地球から猛スピードで金星に接近、逆噴射で急ブレーキのはずが、十分に制動がかからず通り過ぎてしまったようだ。いわば、勢い余ってたたらを踏んだようなものか。何にせよ十二年前の火星探査機「のぞみ」に続く失敗となってしまった▼しかし、である。よく聞けばまだ望みはあるらしい。一発勝負と聞いていたが、「あかつき」は太陽を回る軌道に入っており、六年後に再び金星に近づく。電池を温存して、その際、再挑戦すれば投入できる可能性があるという。太陽はやはりありがたい。それまで「あかつき」を捕まえていてくれる▼一度は失敗してもセカンドチャンスがあると思えば、むしろ励まされる気もする。「なに、ちょっと遠回りしただけさ」と、六年後、みなで笑えるといい。

 

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