HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37858 Content-Type: text/html ETag: "ad67f-1703-334b6200" Expires: Thu, 09 Dec 2010 02:21:46 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 09 Dec 2010 02:21:46 GMT Connection: close 海老蔵さん謹慎 真摯な反省と精進で再登板を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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海老蔵さん謹慎 真摯な反省と精進で再登板を(12月9日付・読売社説)

 「自分の(おご)りが招いたことだと思う」――。

 飲食店でのトラブルから殴られて重傷を負った歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが、事件後初めて記者会見し、一連の不祥事を謝罪した。

 歌舞伎公演を主催する松竹は、海老蔵さんの出演について無期限で見合わせると発表した。当面は謹慎生活を送るというが、当然の措置である。

 海老蔵さんは先月24日、体調不良を理由に、自らの新春公演に関する記者会見予定をキャンセルしておきながら、その深夜、知人に誘われ都心のバーで酒を飲んだ。飲食店をハシゴした末、元暴走族の男たちとトラブルになった。

 プロの自覚に欠けた軽率な行動だったと言わざるを得ない。

 会見で海老蔵さんは「初対面だった」「一切暴力はふるっていない」と強調した。だが、事件現場となった飲食店からは別人の血痕も確認されている。

 一部メディアの報道が過熱する中で、不確かな情報も飛び交っている。海老蔵さんを殴ったとされる男には逮捕状が出ている。警察はこの男の逮捕を急ぎ、真相を解明すべきだ。

 不祥事の代償は大きい。

 海老蔵さんの左目は充血し顔にしびれも残っている。得意の「にらみ」の演技に支障が生じないかなど、身体面でも不安が残る。

 海老蔵さんが座頭を務める予定だった東京・銀座の初春花形歌舞伎は中止が決まった。名古屋・御園座の2月公演も、演目が変更される予定だ。観劇を楽しみにしていたファンはさぞかし失望したことだろう。

 看板役者の不祥事が、歌舞伎界に及ぼしたダメージも大きい。

 十二代目市川団十郎の長男で、いずれは十三代目団十郎を襲名する市川宗家のプリンスだ。「50年に一人の逸材」とその実力を高く評価する声もある。

 しかし、「弁慶」や「助六」を演じる歌舞伎のホープが、酩酊(めいてい)して流血沙汰の揚げ句、無残な姿で家に逃げ帰る。これではファンも興ざめだ。

 海老蔵さんの奔放過ぎる不摂生な私生活は、以前から話題になっていた。幼少時からの厳しい稽古や伝統の重圧への反発もあったと言われる。周囲が甘やかしたことが、驕りにつながったと見られても仕方あるまい。

 歌舞伎ファンの期待に応えるためにも、真摯(しんし)に反省し精進した上で、人間として大きく成長した姿を舞台で見せて欲しい。

2010年12月9日00時58分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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