HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 07 Dec 2010 20:10:33 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:太陽と月をのぞけば、天体の中で最も明るいこの星は、いにしえ…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2010年12月7日

 太陽と月をのぞけば、天体の中で最も明るいこの星は、いにしえ人にも特別な存在だったようだ。平安時代、宵の明星は「ゆふづつ」と呼ばれていた。「枕草子」にも「星はすばる。ひこぼし。ゆふづつ…」とある▼アフロディーテ大陸、メティス平原など、金星の地名には神話上の女神の名が多く冠せられている。金星に神秘的な美しさを感じるのは、民族共通だったに違いない▼日本の金星探査機「あかつき」がきょうの朝、金星の周回軌道に投入される。減速して金星の重力にとらえられるタイミングは一発勝負。火星探査機「のぞみ」は投入に失敗した苦い経験があるだけに期待が膨らむ▼大きさや密度、誕生時期から、地球と金星は双子星ともいわれるが、金星には硫酸の雲が空を覆い、水はない。平均の表面温度は四六〇度以上。大気上層には秒速百メートルの暴風が常に吹いている▼双子の運命はどこで分かれたのか。海がなく生命が誕生しなければ、地球は金星のような姿になっていたという仮説もある。長期的な観測で、地球温暖化の防止に寄与することも期待される▼「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である」と故湯川秀樹博士は語った。成功すれば、日本の探査機として初めて、地球以外の惑星を周回する。あの「はやぶさ」に続き、地図を持たない旅行者が成し遂げる快挙を期待する。

 

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