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阿久根市長失職 独善的手法は否定されたが(12月7日付・読売社説)

 市長の独善的な市政運営が否定されたのは間違いない。一方で、市議会に対する市民の不満が大きいことにも留意する必要があろう。

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長に対する解職請求の是非を問う住民投票は、賛成が過半数を占め、市長が失職した。来月にも出直し市長選が行われる。

 竹原前市長は、市議会側の招集請求に応じず、議会閉会中に、市長や市議、職員の賞与半減や、元愛媛県警巡査部長の副市長選任などの専決処分を乱発してきた。

 鹿児島県知事の是正勧告を無視したほか、市議会で一連の専決処分が不承認になった後も、是正する措置を取らなかった。

 法律を守るのは、首長の最低限の責務だ。行財政改革という目的が正しくても、その手法を正当化することはできない。

 ただ、住民投票の賛成票は7543票で、反対票をわずか398票上回っただけだ。前市長の行財政改革の基本的な方向性への支持の強さも印象づけた。

 前市長派が主導した市議会の解散請求運動でも、9266人もの署名が集まった。市議会や職員の報酬が高いことなどへの市民の反発の表れにほかならない。

 長引く不況に伴い、地方の疲弊が進む中、阿久根市の経済状況も厳しく、大胆な行財政改革が必要とされている。そのことを市議会は謙虚に受け止め、自ら改革することが大切だろう。

 出直し市長選の行方は予断を許さない。竹原前市長と、市長解職に動いた市民団体の幹部が、ともに出馬の意向を示している。

 首長と議会の二元代表制の下、いつまでも両者の不毛な対立が続くのは、もはや「民主主義のコスト」の域を超え、住民にとっても不幸なことだ。

 竹原前市長は、独善かつ強権的な手法を改め、建設的な市政運営を約束することが求められる。市民団体側も、具体的な行財政改革を明示することが重要となる。

 阿久根市政の混乱は、地方自治法の不備を明らかにした。現行法は、首長が法令を順守するという“性善説”を前提にしており、首長が違法状態を続けることに対する歯止め規定を欠いている。

 総務省は、首長が議会を招集しない場合は議長が代行したり、首長の専決処分を制限したりする内容の法改正を検討している。

 衆参ねじれ国会だけに、政府提出法案が成立する保証はないが、こうした必要な法改正は与野党が協力して実現すべきだ。

2010年12月7日01時23分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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