HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 37739 Content-Type: text/html ETag: "1001bf-16a8-faf86740" Expires: Mon, 06 Dec 2010 03:21:46 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 06 Dec 2010 03:21:46 GMT Connection: close 核軍縮条約 米露両国は一刻も早い批准を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
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核軍縮条約 米露両国は一刻も早い批准を(12月6日付・読売社説)

 米国とロシアは核兵器の削減に本気で取り組むつもりはあるのか。

 米露首脳が4月に調印した新戦略兵器削減条約(新START)の批准をめぐる駆け引きが米上院で大詰めを迎えた。米国が批准すればロシアも追随し批准する方針だ。

 批准できなければ、核軍縮に向けた機運は一気にしぼみ、オバマ大統領の提唱した「核兵器のない世界」の実現は頓挫する。両国は政治的思惑を乗り越え、速やかに条約を批准すべきだ。

 米露両国の批准によって条約は発効する。両国は7年以内に、実戦配備する戦略核弾頭数の上限をこれまでより約30%減らし、1550発ずつとする。大陸間弾道弾(ICBM)など核弾頭の運搬手段も800までに制限する。

 オバマ大統領は、昨年のプラハでの演説で核廃絶への決意を表明した。その後、核兵器の役割縮小をうたう新たな核戦略指針を打ち出した。新条約は、その最初の具体的成果である。

 上院で批准を渋っているのは、11月の中間選挙で民主党に大勝した共和党の一部議員だ。核戦力の弱体化などを懸念している。

 オバマ政権は、核兵器近代化のための予算を増額した上、共和党の求める大型減税の延長を条件付きで受け入れるのと引き換えに、批准に道を開こうとしている。

 米国では、条約の批准には定数100の上院で出席議員の3分の2以上の賛成を得なければならず、現有議席59の民主党は共和党議員から少なくとも8人の賛成を取り付けなければならない。

 来年からの新会期では、民主党の議席が減り、批准のハードルはさらに高くなる。政権が年内批准にこだわるのはこのためだ。

 キッシンジャー氏ら共和党の歴代国務長官は連名で米紙に寄稿し、「条約批准は国益にかなう」と訴えた。確かに対テロ戦略でも、アフガニスタン安定化でも、米露の関係緊密化が不可欠である。

 批准が国益にかなうのはロシアも同様だろう。プーチン首相は、米国で批准されない場合には新たな核兵器を配備する可能性に言及したが、ロシアこそ、自らの議会で率先して批准をすべきだ。

 世界の95%の核兵器を保有する米露両国が核軍縮に真剣に取り組めば、中国などほかの核保有国にも核削減を促すことになる。北朝鮮やイランに核開発を断念させる上での説得力も増す。

 北朝鮮に核開発の口実を与えぬためにも、米露は条約を発効させ、核削減を実行する必要がある。

2010年12月6日01時08分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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